第六十七話 何進、陥れられるのことその三
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「言われてみればそうじゃな」
「はい、ですから」
「わかった。それではじゃ」
彼女は司馬慰の言葉を受けることにした。そうしてだった。
すぐにだ。こう司馬慰に言った。
「では明日じゃな」
「明日にですね」
「宮廷に赴こう」
実際にそうするというのだ。
「そして文武百官をそこに集めよう」
「それでなのですが」
「それで?」
「まず将軍が赴かれます」
まずは彼女がだというのだ。
「そこから百官を呼ばれるのです」
「事前に呼ばぬのか」
「そうです。そこが肝心です」
「わらわがあの者達を呼ぶのか」
「そして百官を迎え入れます。そうすればです」
「そうじゃな。あの者達をそのまま呼ぶよりよいな」
話を聞いてだ。もっともだと頷く何進だった。
「それぞれの顔を見てじゃ。帝への忠誠を確かめるのはのう」
「そしてです」
さらにあると述べる司馬慰だった。
「宦官達への対応も確かめることになります」
「よし、わかった」
司馬慰のその策にだ。満足した顔で頷く。
そしてそのうえでだ。あらためて話すのだった。
「そうするとしよう。御主の言うままにな」
「有り難き御言葉。それでは」
「今が肝心じゃからのう」
それはよくわかっていた。何進もだ。
「油断すればそこで、じゃな」
「これまでのことも何もかも水泡に帰します」
「ようやく天下が収まりつつある」
とりあえず彼女は天下のことも考えていた。確かに己のことを強く考えている。しかしそれだけではないのである。
「ここでしっかりせねばな」
「では。明日」
「宮廷に赴く」
あらためてその決意を述べた。
「そうしようぞ」
「それでは」
「してじゃ」
ここで司馬慰にさらに言うのだった。
「そなたも共に来てくれるな」
「無論です」
それは確かにだと。司馬慰は断言した。
「将軍お一人ではやはり」
「危険じゃな」
「ですから。私もまた」
「うむ、頼むぞ」
こう話すのだった。これで何進の方針は決まった。
それで翌朝すぐに屋敷を出てだ。司馬慰と合流してそのうえで宮廷に参内しようとする。しかしだった。
待ち合わせの場所にだ。彼女はいなかった。そしてだ。
そこに彼女の家の者がいてだ。こう告げるのだった。
「御主人様はお帰りになられてから急に」
「どうしたのじゃ?」
天幕の車からだ。その者の話を聞く。
「まさか病にでもなかったのか」
「はい、そうです」
まさにその通りだというのである。
「それで今日は」
「参内できぬか」
「申し訳ないとのことです」
「致し方ないのう」
何進は残念に思った。しかしそれでは仕方がなかった。
「では。わらわだけでじゃ」
「行かれますね」
「宮廷に」
「うむ、そうする」
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