第一話 悪夢の始まり
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声が響く
つい先ほどこのゲームの開発者、茅場晶彦によってソードアート・オンラインは正真正銘のデスゲームと化してしまった
悲鳴、怒号、絶叫、罵声、懇願、咆哮
無数の叫び声が広場を飛び交う。
ある者はうずくまり、ある者は両手を突き上げ、ある者は抱き合い、ある者は罵り合っていた。
俺はそんな無数の叫び声を聞いてるうちに徐々に冷静さを取り戻していった。
この世界で死ねば現実の自分も死ぬ。
これは現実である。
俺はゆっくりと深呼吸をし
「クライン、ちょっと来い」
俺は隣で茫然としていたクラインの腕を掴むと街路の蔭へと入り込む。
そこで俺は彼に提案をした。
じきにこの周辺のフィールドは狩り尽くされる。
その前に急いで次の街へ進もう、と。
だがクラインは、
「…他のゲームでダチだった奴らはまださっきの広場にいるはずだ。置いて……いけねぇ」
面倒見のよさそうな彼らしいセリフだった。
正直彼以外に俺に付いてくるプレイヤーが増えることはあまり得策じゃない。
そんな俺の考えを読みとったのか、彼は無理矢理に笑みを浮かべ
「おめぇにこれ以上世話になるわけにゃいかねえよな。オレだって、前のゲームじゃギルドのアタマ張ってたんだしよ。大丈夫、今まで教わったテクで何とかしてみせら。だからおめぇは気にしねぇで、次の村に行ってくれ」
そう言った。
「…そっか。ならここで別れよう。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ。……じゃあ、またな、クライン」
「キリト!」
俺の背中に声が投げかけられる。
「おめぇ、本物は案外カワイイ顔してやがんな!けっこう好みだぜオレ!!」
俺は苦笑し、肩越しに叫んだ。
「お前もその野武士ヅラのほうが十倍にあってるよ!」
そして俺は、この世界で初めてできた友達に背を向けて走り出した。
一度振り向くがそこには誰もいない。歯を食いしばりながら再び駆け出す。
この果てなきサバイバルゲームをクリアするため、俺は必死に走り続けた。
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あの地獄のデスゲーム開始宣言から三十分経ったころであろうか。
未だに“はじまりの街”の広場では複数のプレイヤーが残っていた。
ある者は他のプレイヤーと情報の交換をし、またあるプレイヤーは未だにその場に座り込んだまま。
またあるプレイヤー達は互いに罵り合っていた。
その広場の中央から少し離れた場所、路地裏の方で一人の男性が特に何をするのでもなく、ただ広場を見つめていた。
男はよく神父が着るカソックという服装をしており、一見聖職者にも見えなくもない。
だが、その男の顔には明らかに聖職者らしからぬ不気味な笑みが張り付いていた。
まるでこの状況を楽しむか
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