第一話 悪夢の始まり
[3/7]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ラインは一歩下がるとゲームの「メインメニュー・ウインドウ」を呼び出しログアウトボタンを探し始めた。
だが、
「あれっ?ログアウトボタンがねぇよ」
「ボタンがないって・・・そんなわけあるわけないだろ、よく見てみろ」
俺はそういうとクラインと同じようにウインドウを操作し始めた。
だが、ウインドウのどこを探してもログアウトボタンがない。
ベータテスト時には確かにあったはずのボタンが綺麗さっぱりと消滅していた。
その後数分間、俺とクラインはなんとかログアウトを試みようとするが、何をやってもうんともすんとも言わない。
「おかしいな、こんなバグ聞いたことないぞ」
「ま、今日はゲームの正式サービス初日だかんな。こんなバグも出るだろ、今頃GMコールが殺到して、運営は半泣きだろなぁ」
「そんなこと言ってていいのか?お前がこうしてる間にもピザが刻一刻と冷めていきつつあるわけだし、現実世界での金銭的被害はかなりのもんだろ?」
「……冷めたピッツァなんてネバらない納豆以下だぜ…」
意味不明なことをぼやくクライン。彼の頭には頼んでおいたピザの事で一杯らしい。
だがこれは深刻な事態だ。
いくら今日が正式サービス初日だからといってこんなバグが発生するだろうか?
それに俺たちがバグに気付いてからもう十五分は経っている。
それなのに切断されるどころか運営のアナウンスもない。
これは明らかに異常だ。
そんなことを考えながら俺はクラインとその場で立ち竦んでいた。
と、その時だった。
リンゴーン……リンゴーン……リンゴーン
突然鐘が鳴り始めた。
大ボリュームのサウンドで。その音に俺は飛び上がった。
「んなっ」
「何だ!?」
俺とクラインは同時に叫び互いに目を合わせた。
すると次の瞬間…
俺の視点はさっきいた草原からゲームのスタート地点である中世風の街並みのとある広場へと変わっていた。
そして、ここから本当の意味での「ソードアート・オンライン」が始まった。
------------------
広大な石畳、周囲を囲む街路樹、正面には黒光りする巨大な神殿。
俺はゲームのスタート地点である“はじまりの街”の中央広場に転移されていた。
俺は隣でポカンとしているクラインと顔を見合わせた。
そして、周囲にはぎっしりと幾重にもひしめく人波が目の前を遮っている。
恐らく、現在ログインしているプレイヤー全員がこの広場に強制テレポートさせられたのだろう。
「どうなってるの?」
「これでログアウトできるのか?」
「早くしてくれよ」
周囲からそのような言葉が切れぎれに届く。
と、不意に。
「あっ……上を見ろ!!」
誰かが叫んだ。
反射的に視線を上に向ける。
そこには
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ