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ランス END 〜繰り返しの第二次魔人戦争〜
第一部 GI歴末からLP歴の終わりまで
序章(CP0第一周、結末Cエンド)
第02話 未来あるヘルマンの若者に幸あれ
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習いとして採用されている。
 後方は前線とは違い「学」が求められる。警備隊とはいえ応用学校も卒業せず主計業務に当たるのは珍しい。

 「基礎学校を卒業したとはいえ、応用学校に進学しなかったのは何故かい?」

 「母が幼いころに亡くなり、それから叔母に面倒を見て貰っていました。
  軍人だった父がパラパラ砦の攻防で戦死し、その年に叔母も病気で亡くなりました」

 「……そうか。他に身寄りは?」

 「冒険者となった姉がいましたが、風の便りで死亡したと聞いています」

 それこそヘルマンの田舎では、家業が無ければ、軍人になるか、冒険者になるくらいしか若者の道はない。
 姉は前者を選び、身寄りのない弟は食つなぐために後者を選んだ。

 パラパラ砦の攻防があったのは七年前か。私は当時は首都防衛の第三軍にいた。
 赤の将リック・アディスンが、リーザスの赤い死神の異名で恐れられるキッカケになった戦いだ。
 リーザス軍と戦ったのは、たしかヘルマン主力の第一軍だ。ということは、彼の父親は第一軍か。
 
 「正規軍に志願しなかったのは?」

 「私は見ての通り体格も細身ですし、正規軍に採用されるとは思えませんでした」

 なるほど。身長は170もないだろう。平均的なヘルマン男性からすれば随分と背が低い。
 痩せてるわけではないが、兵士として引き締まった体は細身といえるだろう。

 「それに……他国との馬鹿げた戦争で死にたくありませんでした」

 意思をもった瞳が正面を睨みながらハッキリと告げる。 
 宰相ステッセルの独裁による前帝政では、けして口に出せなかったであろう一言。
 いや現役の騎士でも愛国心があるものであれば、すぐに怒鳴ってもおかしくはない。

 しかし、担当した騎士は、彼の気持ちも分かる気がした。
 パラパラ砦の攻防、そして第七次HZ戦争は、政略から起こった戦いだった。
 魔軍や敵国から国を護るための戦いではなかった。侵攻の大義名分さえもない。
 ただ腐敗した政府上層の権力闘争の駒として、数多くの将兵の命が失われた。

 ヘルマンの都ラング・バウは、やや西より中央に位置する。
 だからだろうか都に近い西部ヘルマンの民は、愛国心が強く。
 そして東部ヘルマンの民は、郷土愛が強いと言われている。

 例えば第二軍の志願者は魔物界に隣接する西部ヘルマン出身者が多い。
 逆に東部ヘルマンから正規軍に志願する者は、田舎から中央での出世を望む者が多い。
 私もそうだったし、第三軍の前将軍ミネバ・マーガレットも東部の出身者だ。

 彼は中央政府の権力闘争に、ほとほと嫌気がさしているのだろう。
 第七次HZ戦争に敗れたヘルマンは、東部の治安が悪化。野盗や山賊が跋扈するようになった。
 こ
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