第三章
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二人はすぐに着物を着せてもらって店に入った、二人共簡単な作業をしていたがその分店も助かってだった。
七時になる頃にはもう落ち着いてだった、穂乃香も二人に言った。
「有り難う、お陰でね」
「お店助かったのね」
「そうなのね」
「ええ、助かったわ」
実際にというのだ。
「本当にね」
「いや、実際に忙しかったわね」
「文字通りの天手古舞だったわね」
「普段はこんなことはないの」
穂乃香は店の奥でへたれ込みながら二人に話した、見れば三人共目をくるくると回してへたれ込んでいる。
「お客さんが多くてお掃除も多くて」
「それでなのね」
「この忙しさだったのね」
「そうだったの」
まさにというのだ。
「年に一度あるかないかって位の。けれどね」
「私達が来て」
「その分なの」
「助かったわ、お金は後からお父さんが出してくれるから」
その父がというのだ。
「時給千円でね」
「ええ、じゃあね」
「有り難く頂くわ」
「それで遊んでね」
「そうさせてもらうわ」
「折角だしね」
二人も応える、だが。
ここでだ、るかはふと気付いた顔になって言った。
「そう、ここはね」
「あっ、ぬらりひょんね」
恭子もここで思い出した。
「私達がここに来た当の目的」
「その妖怪のことだけれど」
「来てないわよね」
「そうよね、そうそう来る筈ないわよね」
二人はこう思った、そして穂乃香もだ。
へとへとになっている状態でこう言った。
「出ないと思うわ、まあいたらね」
「それこそね」
「不法侵入だしね」
「大騒ぎになるわよ」
「不審者がお家の中にいたら」
「誰だって気付くわよ、じゃあお茶淹れるわね」
二人にこう言ってだ、穂乃香は席を立とうとした。だが。
ここで三人にそっとお茶が出された、見ればかなり上等の袴と着物を着ていてだった。頭が剥げていてその頭の後ろがやけに出ている目の細い老人が出してきていた。老人は三人に飄々と笑って言った。
「お疲れさん」
「あっ、どうも」
「頂きます」
るかと恭子が応えた、そうしてだった。
二人はそのお茶を受け取り穂乃香も受け取って三人で飲んだ、だが。
そのお茶を飲み終えてからだ、穂乃香はふと気付いて言った。
「あの、さっきの人だけれど」
「お店の人よね」
「穂乃香のお祖父さんかしら」
「あんな人いないわよ」
こう二人に言うのだった。
「うちには」
「えっ、そうなの」
「お店の人じゃないの」
「お祖父ちゃん今京都に行ってるし」
その祖父もというのだ。
「お仕事でお祖母ちゃんと。その分忙しかったし」
「じゃああの人誰よ」
「お店の人でもご家族でもなかったら」
「ひょっとしてって思うけれど」
「まさか」
るかも恭子
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