第二章
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穂乃香を見てだ、それで言った。
「穂乃香のお店に出るの?」
「そうかもっていうけれど」
穂乃香は恭子に気弱そうな顔で応えた。
「何かね」
「夕方になのね」
「そう、勝手に来るらしいのよ」
そのぬらりひょんがというのだ。
「何でもね」
「ふうん、大阪にもそんな妖怪出るのね」
「ひょっとしたら」
「じゃあ若しいたらね」
そうならとだ、るかは考える顔で言った。
「この目で見てみたいわね」
「そうよね」
今度は恭子が言った。
「それじゃあ三人共時間がある時にでもね」
「ええ、その穂乃香のお家に行って」
そしてとだ、るかも恭子に応えた。
「来るかどうかね」
「確かめるのもね」
「いいわね」
「うちに来たら」
ここで穂乃香は二人に顔を明るくさせて言った。
「服買ってくれる?」
「買える訳ないじゃない」
「無理に決まってるでしょ」
二人は穂乃香の天然を感じさせる言葉に半分以上真剣な顔で応えた。
「呉服なんてそうそう買えないわよ」
「物凄く高いのに」
「買う時はもう一生時よ」
「絹の着物なんてね」
これが二人の返事だった。
「そんなの早々買えないから」
「ユニクロと違うのよ」
「だから服は買わないから」
「もっと言えば高校生では買えないからね」
「ううん、お店に来てもらったら買って欲しいけれど」
店の娘としてはと言う穂乃香だった。
「そうもいかないのね」
「お金沢山あったら買うから」
「大金持ちになったらね」
二人はまた穂乃香に言った、だが二人は穂乃香の家に行くことは決めた。そうして三人共時間がある日の夕方にだった。
実際に穂乃香の家に行った、だがるかと恭子が行くとだった。
穂乃香は泣きそうな顔で二人に言った。
「あの、臨時でいいからアルバイトして」
「えっ、臨時って?」
「どうしたの?」
「今日物凄く忙しいの」
だからだというのだ、見れば穂乃香も店の服である若草色の着物に割烹着という恰好だ。
「お客さんが沢山来てくれてお掃除も色々あって」
「それでなの」
「忙しいの」
「時給千円出すぞ」
穂乃香の父も言ってきた。
「だから君達も入ってくれるか?」
「えっ、時給千円!?」
「それほんまかいな」
二人も思わず声をあげた。
「時給千円って」
「相当じゃない」
「それだけ出すからな」
だからというのだ。
「君達も手伝ってくれるか」
「服はすぐに着付けするわ」
穂乃香によく似た中年の女の人も言ってきた。
「そうするから」
「お母さんがそうしてくれるし」
また穂乃香が言ってきた。
「今日はね」
「ええ、わかったわ」
「今からアルバイト入るわ」
時給千円ならとだ、るかも恭子も頷いてだった。
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