幕間の物語
─ナミの心象T─
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんな雰囲気の中アキトは静かにゲンさんにこう述べた。
『…アーロンパークへ案内してくれませんか?』
アーロンパークへと辿り着いた私達はアキトが先頭になる形でその場に佇んでいた。
門をまるで家のノック感覚で吹き飛ばし、アーロンパークへと侵入するアキト。
その場の誰もがその衝撃的な出来事に驚かされたことは記憶に新しい。
その後はトントン拍子に事が進んだ。
モームは謎の衝撃波で島の沿岸まで無残にも吹き飛ばされ、周囲の魚人達は難無く撃沈される。
そう、たった一人の人間であるアキトの手によって。
幹部の一人であるハチは6本の刀を粉々に破壊された後島の沿岸まで勢い良く吹き飛ばされ、クロオビはその場から一歩も動くこともなく地に沈められた。
最後の幹部であるチュウはただ手をかざすだけで再起不能に陥られる。
この時点でアーロンパークは崩壊寸前であり、残りはアーロンただ一人となる。
そして並外れた実力を持つはずのアーロンさえもアキトに為す術もなく掌底を撃ち込まれ、ボロボロの状態へと早変わりした。
魚人特有の怪力も体格も、自慢の長ッ鼻さえもアキトには通じなかったのである。
私の目にはアーロンの姿が酷く哀れで、滑稽に見えた。
正に井の中の蛙。
最弱の海である東の海で大将を張っていたアーロンの実力など偉大なる航路から来たアキトにとって相手にはならなかったのだ。
魚人族が至高の種族であると豪語していたにも関わらず鍛錬と研鑚を怠った者の成れの果ての姿である。
8年前、私達に行った力の暴力をその身を持ってアーロン自身が受けている。
正に因果応報、その言葉の意味をアーロンは身を持って味わっていた。
その後、アーロンの必殺の一撃でさえもアキトには通じず、まるで赤子の手を捻るように一蹴されアーロンパークと共に崩れていった。
8年にも渡る支配が瞬く間に終わりを迎えた瞬間である。
初めの内は眼前の事実に狼狽え、信じることができなかった。
だがそれが現実なのだと理解すると万感の思いが胸の内に広がる。
そんな私を見かねたアキトは優しく抱きしめてくれた。
遂に耐え切れなくなった私は皆の前でみっともなく泣き、アキトを抱きしめ返すことになる。
これまで溜め込んできたもの全て吐き出すように。
アキトは服が濡れるのも構わず優しく私の背中に手を回してくれた。
アキトの胸の中は暖かく、冷めた私を心身共に癒してくれた。
まるで遥か年上の男性に抱きしめられているような感じであった。
今思い返すだけでも恥ずかしい。
出会って間もな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ