【夢酔(ゆめよい)】
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しの夢だろうと何だろうと関係ない。ねぇ、教えてほしいの。どうしたら“わたしの未来”にネジ兄さまを存在させてあげられるの? あなたの世界にはもう……兄さまは居ないんでしょう」
「───?」
年下のハナビはその事を察し悲しげな表情をしており、大人のハナビは俯いて目を伏せ、当のネジは無表情で黙っていたが、歳上の方のハナビが何か思い立ったように顔を上げる。
「そうだわ……これはきっと、夢なんかじゃない。醒める必要もないんだ。このまま私が過去に居れば、ネジ兄様を守れるはずよ。十代前半の当時は大戦に参戦出来なかったけれど、今の私なら───」
「寝言を言っていないで、さっさとこの夢から醒めたらどうだ」
冷たい口調で歳上のハナビの言葉を遮る従兄。
「俺がどのような形で死ぬ運命だろうと……、過去は変えられない」
「ネジ兄、様……」
「もういいだろう。──お前は、元の居場所へ還れ」
「だけど、私はっ」
つと、不意打ちに人差し指で従兄に額を小突かれるハナビ。
「え、あ……」
すると急速に意識が遠のくのを感じ、身体がふらつく。
「簡単な事だったな。……そのまま、眠るといい」
「だ、駄目よ兄様……、私、きっとネジ兄様を、助ける為に……っ」
「その気持ちだけは、受け取っておく。──ありがとう、ハナビ」
薄れゆく意識の中、最後に見たのは、従兄の儚げで優しい笑みだった。
《終》
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