【夢酔(ゆめよい)】
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ハナビは過去の驚いている自分にいたずらっぽい笑みを浮かべる。
「──ハナビ様が修行をつけてほしいと言うので相手をしていた所、妙な気配を感じて竹林の奥に倒れているお前を見つけたのだ。……これがお前の夢の中だというなら、都合良く俺達を動かしてみたらどうだ」
「あ、そうよね。夢の中って判って目が覚めないなら、私の都合良く動かせるはずよね!──じゃあネジ兄さま、私と手合わせ願えないかしら」
ハナビは強気な笑みを見せ、従兄は怪訝な表情になる。
「……そんな事でいいのか?」
「昔は到底敵わなかったけど、今の私なら互角か……それ以上に闘えると思うのよ。夢の中だからって都合良く勝とうとは思わない……純粋に、上忍当時のネジ兄様と手合わせしてみたいの」
「ほう……?」
従兄は少し面白くなってきたと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。
「ちょっと待って、あなたの未来のネジ兄さまはどうしてるの? 今の兄さまよりもっと強いはずだよね。やっぱりわたしが大人になっても敵わない?」
「そう、ね……。きっとそうだったと思うわ。──兄様より歳上になった私が、過去のネジ兄様相手に勝ってみせたとしても自慢にならないけど、それでも試してみたいのよ」
「兄さまより、わたしが年上になった……? それって──」
「ハナビ様、出来るだけ離れていて下さい。……どうやら、未来のあなた相手に本気を出さなければならないようだ」
ネジは六歳下の従妹のハナビの疑問を遮り、自分より歳上のハナビを前にして柔拳の構えをとり白眼を発動する。
「未来のハナビ様とやらのお手並み……、拝見させてもらおう」
───────
「八卦掌、回天!!」
「──ほう、流石に使いこなせるようになっているらしいな」
普通の人間には到底捉えられない動きで互いに柔拳を放ち合い、大人のハナビの繰り出す素早い回天を辛うじて躱したネジはどこか嬉しげな笑みを浮かべている。
「それはそうよ……日向の跡目として、修業は欠かさないわ。一族の子供達にだって、柔拳を教えているのよ。宗家分家関係なしに、対等に回天だって教えているんだから!」
六歳離れていた従兄と漸く対等になれた気がして、ハナビも内心嬉しさで心が満たされる想いだった。
(そうか……、日向一族にとって──俺にとって、理想的な未来になっているようだな)
ネジは感慨深げに瞳を閉ざす。
「ほらネジ兄様、油断してると痛い目を見るわよ! 八卦空──」
「もうっ! 大人のわたしもネジ兄さまも、ズルいよ!!」
年下のハナビが大きく声を上げ、歳上のハナビとネジの動きを止める。
「そんなに楽しそうに手合わせして、うらやましいよ。──未来のわた
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