第10話 戦乱の嵐吹き荒れる!幻想郷はバイト探しも一苦労
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幻想郷に置いて、何の能力を持たない人間は時として妖怪等の恰好の獲物とされる危険性が高い。
故に、能力を持たない人は人里に集い、其処で生活をする事でこれらの危険から身を守っている。
妖怪達は人里内で人を襲ってはならないと言う決まりがあるからだ。この決まりを破れば幻想郷で生きてはいけない。
故に妖怪達は律儀にその決まりを守り、時には人里で人と生活を共にし、時には人里の外を出歩く命知らずな人間に手を掛ける。
そうする事で人間と妖怪達とのバランスを保っているのが現状だと言われている。
だが、そのバランスの中に人外の輩が紛れ込んだら、一体どうなってしまうのだろうか?
***
人里から遠く離れた雑木林。一面草木が支配し、視界も悪い。
妖怪からして見れば獲物を待つに絶好の場所ともいえる。
そんな雑木林を白い布で体を覆った人らしき者が歩いていた。しかも一人で―――
「ヒャッハァァァ!! 人間ハッケェェン!」
「獲物だぜヒョホホホォォォ!」
正しく妖怪からして見れば「襲って下さい」と体現しているかの様な光景だった。
そんな光景を見逃す筈もなく、数体の世紀末的恰好をしたモヒカンな妖怪達が姿を現した。
「ヘッヘッヘェ! 久しぶりの人間だぜぇ」
「ここ最近まともな飯食ってなかったからマジ腹減って死にそうだったぜぇ!」
妖怪達は相当飢えているらしく、口元からはだらしなく涎を垂らしている。
彼らも一応は幻想郷のルールに則って生活はしている。故にこうして人里から離れた場所で迷い込んだ人間を襲って食べているのだ。
別に世紀末的恰好をしているからと言って誰しもがルールブレイカーではない。これを読んでいる読者様も人を見た目だけで判断しないように。
「おい、しかもこいつ女じゃねぇのか?」
「マジかよ! 人間の女っていやぁそりゃもう美味中の美味だからなぁ。俺達本当についてるなぁ!」
どうやら妖怪達の間では人間の女性は美味との噂が流れ込んでいるようだ。
まぁ、その噂が本当なのか実証する機会は残念ながらこれから先我々にはないのだが。
突然の襲来におののく女性に妖怪達が逃がすまいとにじりよってくる。
「おいおい、女だってんならすぐに食うのはもったいないんじゃねぇのか?」
「そうだな。久しぶりの獲物、それも女だ。此処はしっかり楽しんでから食った方が良いな」
「そうだそうだ。おい女! 俺達はたんまり食料を持ってる。良い子にしてたら暫く生かしておいてやるぞ! まぁ、どの道俺達に見つかった時点で助かる道はねぇんだけどな」
ゲラゲラと笑い合う妖怪達。普通ならば此処で命運尽きたとばかりに泣き崩れるか助けを求めて泣き叫ぶのが定石なのだろうが、目の前の布を纏
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