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提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・28
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そ、弓や刀の扱いに長けた艦娘がいるというのもまた事実だ。

「駆逐艦のベースになった方々も、そういう強味があったんでしょうか……」

「さぁてねぇ?俺はその辺の話は知らん」

 嘘だ。深海棲艦が出現し始めた当初、俺は軍には居なかったが普通に生活はしていたんだ。少なからず情報は入る。それによると、深海棲艦にやられて孤児となった少女から志願者を募り、適性があった者を順次艦娘に改造、戦地に送り出していると報道されていた。家族を殺された少女達の復讐心を利用した格好だが、当時の追い詰められた日本では非人道的だなどと叫ぶ連中はほんの一握りで、そんな連中も生活が賭かっている漁業関係者や海運業者等にデモを喰らって黙らされていた。

「そもそも、何で日本に艦娘が?」

「あ〜……これは俺の推論なんだがな。九十九神って解るか?」

 俺の問いに、ふるふると首を横に振る吹雪。

「九十九神……まぁ付喪神とも書くんだが、100年近く使われた道具には精霊や下級の神が宿る、と言われている」

「私達艦娘は、それに近い存在だと?」

「まぁな。そうでもなきゃ、鉄の塊の軍艦が祖国を護る為にってこ〜んな少女の姿になってまで化けて出てこねぇだろ」

「そ、それは……そうかも知れませんが」

「実際、艦娘の力の源である艦霊(ふなだま)の存在は確認されてる。その艦霊が軍艦に宿った精霊や神の一部だと考えれば、大体の説明がつく」

 その艦霊に同調出来る素養のあったのが、第1世代型艦娘となった女性達。そしてその身体をクローン技術で量産化したのが第2世代型の艦娘。

「妖精さん達はかつての船員達の生まれ変わりとも言われてるしな。ほら、艦載機にもいるだろ?昔のエースパイロットの名前が付いてるのが」

「じゃあ、昔のご先祖様達が私達を護ろうと戦ってるんですね!」

「そう考えると、死んだ後もこき使ってるみたいで多少心苦しいがな」

 俺の推論にも穴はある。深海棲艦の存在だ。あいつ等は艦娘とほとんど変わらない……それどころか、艦娘が堕天して深海棲艦に『堕ちる』事さえあるんだ。奴等は何故生まれたのか?目的は?艦娘との関連は?卵が先か鶏が先か、的な話になるがどちらが先に生まれたのか?何故、何故、何故……。

「……司令官?大丈夫ですか?」

「…………ッ!あぁ、何でもねぇよ」

 深く考えるのは止めだ。今は俺の出来る事を全力でやるだけさ。
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