第二章
[8]前話
「本当にね」
「もう化石どころじゃないですね」
「経済は生きものだよ」
「その生きものの経済で化石というかもう駄目だってわかっている経済学を教えるのは」
「君の言う通りにね」
「どうにかしないといけないことですね」
「そうだよ」
教授は陽子に話した。
「この状況は何とかしないとね」
「本当にそうですね」
「それで君はこのことを打開するにはどうしたらいいと思うかな」
「はい、やっぱりマルクス主義が駄目なら」
それならとだ、陽子は教授にはっきりと答えた。
「どうしてなのか」
「それを検証してだね」
「論文として書きたいです」
「それが君のやるべきこととだね」
「考えていますが」
「そう、まあそんな化石そのものの教授はいなくなっているよ」
確かに日本では今もマルクス主義を肯定的に教えている教授、新聞記者が天下りしてそうなっている彼等がいるがというのだ。
「けれどね」
「そうした人は後がいないからですね」
「新聞記者の天下り自体もチェックされる様になっているし」
ネット等でだ、マスコミは官僚の天下りを批判しているが自分達の天下りがそうなるとは思っていなかったが世の中は変わったのだ。
「だからね」
「そうした人が天下り出来なくなって」
「しかも普通の経済学者が大学で育っているから」
「マルクス派の教授も減っていっていますね」
「そうなっているよ、しかしだね」
「はい、今の時点でどうにかする為に」
強い顔で、だった。陽子は教授に答えた。
「マルクス主義を検証して批判する論文を書きます」
「よし、じゃあその論文が完成したらですね」
「学会で発表するよ、ではね」
「今から検証していきます」
そうして書くとだ、陽子は約束してだった。
実際にマルクス主義を検証して研究してだった、そのうえで。
論文を書いてその論文を教授に手渡した、教授は陽子の名前をそのまま出してだった。学会でその論文を発表すると。
日本の経済学界で大きな反響を得てだった、マルクス主義経済はその分否定された。そうしてだった。
教授は陽子に笑顔でこのことを話した、そのうえで彼女にこうも言った。
「やはり君はね」
「大学院に残ってですか」
「学者になるべきじゃないかな」
「それはもう少し考えさせて下さい」
陽子はその問いには微妙な顔で返した。
「まだ」
「そうか、じゃあじっくり考えてくれ」
「はい、そうさせて下さい」
陽子は教授に言うのだった、彼女は優れた論文を書いたがそれでも未来にはまだつなげる考えには至っていなかった。こちらの検証はまだこれからだった。
近代日本経済学 完
2018・3・25
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