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賢者の孫騎士
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尋ねる。

「同じ学校で、仲は良くないの。私の友達に嫌がらせをしていて、それを周りの皆で守ったりしてたら」

「ターゲットを変えたと。ああいうのはどこまでも付け上がるからな。一回締め上げるしかないな」

何とかしてやりたいが、良い方法が思いつかない。そもそも10日しか使える時間がないのが問題だ。さすがに殺すのは駄目だよな。

「大丈夫。もうこんなことにはならないように頑張るから」

ああ、この娘は強いんだな。ちょっとだけお節介をしよう。

「なら、一個だけ、単純だけど可能性に満ち溢れている魔法を教えてあげる」

「どういうこと?」

「本当に単純な魔法で見た目も地味。だけど、なんだって出来る魔法さ。人の体の中で最も自由に動かせるのは何処だか分かる?」

女の子が身体を軽く動かして確認してから答える。

「手?」

「そう。この魔法は見えない手を自由に扱う魔法だ。単純で弱いように聞こえるけど、作り出す手は自分の手じゃない。君よりオレの手の方が強いし、オレより大人の方が強いし大きい、お話に出てくるような巨人の手や動物の手、様々な手がある。大事なのはイメージだ」

財布を地面において、女の子を後ろから抱きしめるように腕を取る。

「ちょっと!?」

「集中して」

照れているようだが、我慢してもらう。集中できた所で念動に必要なイメージを伝える。

「魔力を右手に集まるイメージ」
「そこから魔力が手の形になるようにイメージ。魔力を水に例えて、手を入れた時に纏わりつくイメージだ」
「水の手が遠くまで少しずつ離れていく。それが財布の傍まで伸びる」
「財布を持ち上げるために握りしめる。だけど水は崩れない。まるで氷のように固まっている」
「掌の部分は凍っているけど、腕の部分は問題なく動く。持ち上げて手元に引き寄せる」
「氷が溶けて水となって形が崩れる」

耳元で指示を出すだけで一切補助を行っていなかったのだが、まさか一発で成功するのは予想外だった。

「今のが基本的なイメージだ。掴みたい物や、何をしたいのかでイメージを変える。これを毎日続ければこんな事も出来るようになる」

後ろから抱きしめている状態からお姫様抱っこで抱え、念動と肉体強化で空へと駆け上がる。

「巨人が空へと手をかざして、その掌に立っている。そうすればこんな景色が見えてくる」

この世界では空を飛ぶための魔法は存在しない。気球のような科学の力での飛行も出来ない。だから、この光景を見たのはオレと、この娘だけだ。眼下に広がる広大な景色を独り占め、いや、二人占め出来るのは印象深いものだろう。

「うわぁ〜〜、凄い、広い」

「そうだろう。世界は広い。王都も大きいけど、世界から見ればちっぽけなものだ。それを知ってる
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