討論会
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き、摩利もこう漏らす。
「専守防衛といえば聞こえがいいのではないですか?」
「深紅、実力行使を前提に考えるな」
「始まりますよ」
まだ何か言おうとした深紅の言葉は、クールな鈴音の声にかき消された。
……討論会は、真由美の独壇場だった。
舞台に立つ同盟の人たちの意見は具体的な提案が何もなく、ただ実質のないスローガンを掲げるだけだった。
「私は当校の生徒会長として、現状に決して満足していません。
なぜなら、一科生も二科生も当校の生徒であり、当校の生徒である間はその人たちにとって、唯一無二の三年間なのですから」
真由美が最後にこう締めくくると、会場から拍手が湧いた。
手を打ち鳴らしているものに、二科生と一科生の差はなかった。
やがて拍手が止む。
「みなさんにはこの機会を通して、私の希望を聞いてもらいたいと思います。
実を言うと現在、生徒会役員に指名できるのは一科の生徒だけで、二科生を生徒会役員にすることはできません。
少々気の早い公約となってしまいますが、私は任期を終えるまでにこの制度を撤廃したいと思っています」
今度こそ、満場の拍手が起こった。
真由美は差別意識の克服をみんなに呼びかけたのだ。
もはや壇上にいる同盟のメンバーは、野次を飛ばすこともできず、ただ悔しそうに真由美をにらんでいた。
突如、轟音が講堂内の窓を震わせた……。
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