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ハンドレッド――《紅き髪の異邦人》
【ハンドレッド――《ヴァリアント覚醒》】
【第一話】
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られている。

 腕時計で時間を確認したカーマイン――いつまでもボストンバックを担ぐのも面倒だと思い、一路寮へと向かう。

 暫く歩くと視界に白い洋風の建物が見えてきた、周囲に建物はなく、前以て見た寮案内の資料に外観が載っていたので間違いはないだろう。

 迷うことなく敷地内に足を踏み入れ、入り口付近の壁にはリトルガーデン武芸科の校章、そして寮であることを表すプレートが飾り付けられていた。

 入り口の扉を開くと、カーマインの目に映ったのは予想外の出来事だった。

 男が男を『押し倒している』光景――それも華奢な銀髪の男が黒髪の男を押し倒しているという有り得ない光景。

 暫しの沈黙が流れる――。


「ち、違っ! わ、悪いがちょっと退いてくれないか!?」


 語気を強めに、上に乗る銀髪の男にそう告げた黒髪の男。

 状況を理解したのか慌てて銀髪の男が――。


「ああっ、ごめんっ! き、君も勘違いしたらダメだからね!?」

「…………」


 勘違いとは一体――カーマイン自身、男が男とって考えがなく――。


「……別に、お前らが男同士でイチャイチャしてようが俺様には関係ねぇよ」


 カーマインにとってはどうでも良かった――そんな矢先に、笑い混じりの陽気な声が聞こえてきた。


「おいお前ら。いきなりイチャイチャして、仲が良いもんだな。そいつもあんまりの出来事でびっくりしてるじゃないか」


 声の主に視線をやる三人、呆れたような笑みを浮かべた長身の青年が立っていた。

 髪は短い金髪、制服も真新しいから新入生だろう。


「いや、イチャイチャって……そういうのじゃないから。こいつがいきなり抱きついてきて、そんなところにそいつが入ってきて――」


 必死に取り繕おうとする黒髪の男に、現れた金髪の男は――。


「ああ、そいつはお前に会いたい会いたいって言ってたからな」

「あぎゃ……。それは良いがいい加減自己紹介してくれてもいいんじゃねえか?」


 カーマインは呆れたようにそう告げる――男四人集まって自己紹介も無しは変に感じただけなのだが。


「すまない、自己紹介が遅れた。俺はフリッツ・グランツ。この男子寮に一年の中で最初に入ったって事で仮の一年のリーダーをすることになった。これからよろしくな、噂の新入生。そっちの新入生もよろしく」

「噂の新入生?」


 カーマインがそう聞くと、フリッツが――。


「知らないのか? ハンドレッド適性試験で歴代一位の反応数値を叩き出した期待の新入生――それが如月ハヤトさ」

「あぎゃ、悪いが男に興味は無いんでな。……俺様はカーマイン・ヴァンヘルム。好きに呼んでもらって構わね
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