ペルソナ3
2005話
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自分自身を餌にして路地裏辺りを歩いていると……
「よう、坊主。悪いけど、ちょっと金を寄越せ。俺の拳を食らいたくないだろ?」
そう言ってきたのは、結構な筋肉が付いているモヒカンの男。
その男の近くには何人か仲間と思しき者達がおり、背後では俺の逃走経路を塞ぐように、こちらも何人かの姿がある。
よし、掛かった……と思ったが、獲物を見るような目で俺を見ている男は、どこか見覚えのある人物だった。
このペルソナ世界でも、モヒカンという髪型の男は滅多に見る事が出来ない。
そうなれば、ジンの時とは違って、俺の勘違い……という訳でもないだろう。
どこだ? そう考えながらモヒカン男を見ていると、モヒカンの仲間の1人が得意そうに笑って口を開く。
「ほら、マサさん。マサさんみたいな大物が出てくれば、こういうチビは怖がって言葉も話せなくなるんですよ。それくらいは分かってたでしょう?」
「……マサ?」
マサと呼ばれたモヒカンの男を見て、俺はこの男をどこで見たことがあったのかを、思い出す。
そうだ、荒垣が制御剤の副作用で弱ってるところを襲って意識不明にした原因の奴か。
……ポートアイランド駅で天下を取るとか言ってた筈だが、何でポロニアンモールにいるんだ?
まぁ、いい。俺の仲間に手を出した礼はしないといけないと思ってたんだ。
わざわざ俺から探すような真似をしてまで復讐するつもりはなかったが、こうして向こうから姿を現してくれたのなら、それを遠慮する必要はない。
「何だ、俺の名前を知ってるのか? ふん、ならさっさと金を出せ、そうすれ俺のこの拳を味わうような真似はしないですむぜ?」
そう言い、マサは拳をこちらに向けてくる。
その拳は強力無比なのだ、と、そう自信に満ちている台詞。
実際その拳は中々に強力そうに見えない事もないが……それは、あくまでも不良の喧嘩に限っての話でしかない。
シャドウを相手に文字通りの意味で命懸けの戦いをしており、それ以外にも様々な戦いを潜り抜けてきた俺にしてみれば、子犬が必死に虚勢を張って吠えているようにしか見えない。
「タイミングよく出て来てくれたな。一石二鳥ってのはこの事か」
「……は? 何を言ってるんだ、お前? 俺が誰なのか分かってそんな事を言ってるのか?」
マサは俺の言葉が理解出来ないといった様子で、不審そうな視線をこちらに向けてくる。
だが、俺はそんなマサの様子を気にせず、掛かってこいと指で示す。
そんな俺の態度が我慢出来なかったのだろう。マサは、コメカミに血管の筋を浮かび上がらせながら、俺に向かって殴りかかってきた。
「うおおおおおおおおおおっ!」
こんなに容易く挑発に乗るとはな。
いや、寧ろ今のは挑発とも呼べない行為じゃないか
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