第三章
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「その人の作品怖いので有名じゃない」
「もう凄いわよね」
「そういうのはいいの?特に漫画」
「そうなの」
「絵は無理でも」
「ううん、何か美術の怖さって格別じゃない」
「漫画と違って?」
友人は眉を顰めさせたまま問い返した。
「違うっていうの」
「そうと思わない?」
「別に。というか」
むしろと言う友人だった。
「同じでしょ」
「同じなの」
「私はそう思うけれどね」
こう恵に言うのだった。
「実際に」
「そうなのね、けれどね」
「恵は違うのね」
「ゴヤとかみたいに人間の内面の怖さをこれでもかと出して描く」
「それはなの」
「そう、私駄目なの」
こう友人に話すのだった。
「醜さとかおどろおどろしさとか」
「そうしたのが出ていると」
「どうしても駄目だけれど」
「漫画とか小説はいいの」
「そうなの、ストーリーとして怖いのはね」
「妖怪や幽霊やもっと訳のわからないのが出ても」
「いいの」
恵としてはというのだ。
「別にね」
「人間の内面が嫌なのね」
「そうなの、そういえば漫画や小説でも」
普通に買っているものでもと言う恵だった。
「人間の内面の怖いの描いてるとね」
「駄目なの」
「そうなるわ、本当にね」
恵はまた話した。
「私は人間の内面が一番怖いわ」
「人間の心の」
「ゴヤでもそれがあるから」
あまりにもだ、それが怖く描かれていてというのだ。
「私は駄目なの」
「そういうことね、わかったわ」
友人もここで納得した顔になって頷いた。
「私もね」
「私が何を怖いか」
「それがね、確かに人間って怖いわよね」
「そうした一面あるわよね」
「それも相当にね」
「それが出るとね」
「アウトってことね」
「そうなの、どうしても」
こう話してだ、恵はその漫画や小説を家に帰って読んだ。確かにどちらも怖かったがそうした怖さは恵にとっては平気でむしろ楽しめるものであった。
美術館の絵 完
2018・3・23
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