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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット9
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ていた。
 ある者は友人同士集まって語らい、ある者はパーティの募集を行い、ある者はクエストの依頼を斡旋する。
 他の冒険者が斡旋する依頼などは、正直勝手もわからないので遠巻きに眺めるにとどめ、彼は酒場へと迷うことなく進んで行った。
 酒場の扉を開ける。
 外とは打って変わり、まだ早い時間だからか客の数は少ない。
 相変わらず帳簿とにらめっこしている受付嬢の所に歩を進めると、バルジェンに気付いて顔を上げて言った。

「あら、ジアーデ達は一緒じゃ無いんですね」

「他の娘達とパーティ組んで討伐行ってますよ」

「なるほど置いていかれたわけですね?」

「まぁ、そうとも言えるか・・・」

「それで、何をお求めですか? パーティメンバーの募集ですか?」

「ああ、いや」右手をヒラヒラと振って左手で頭をかく「手頃な依頼がないかと思って」

「御依頼の紹介ですね。あちらに」酒場の角を指差して「ボードがあるのはわかりますか?」

「貼り紙してあるボードですか?」

「そうです。あちらに貼り出されているのがここ数日の依頼です。手頃な物ですと、素材の収拾から魔物の討伐など、色々貼りだされてますから、ご覧になってみて下さい」

「なるほど、あそこから選ぶのか・・・。どうもどうもありがとうございます」

「いえいえ」

 受付嬢が示したボードに歩み寄り、掲載されている依頼に目を通す。
 一番手軽そうで、それなりに報酬額のいい物を探すがほとんどがモンスター退治で、自分の能力も計れていないうちは手を出せそうもない。
 いくつか目を通して下の方に移っていくと、次のような依頼が目に入ってきた。

『丈夫な枝が欲しいです。素材に必要です。20本以上集めて来てください。報酬は50g(ゴールド)です』

(50gか。宿が朝夕食事付きで10gだろ・・・。うーんよくわからんが、割りに合わない気がする・・・)

 とは言え、仕事をしないわけにも行かない。
 バルジェンは依頼の張り紙を取ると、受付嬢の所へと持っていく。

「あら、決まりました?」張り紙を受け取る「あらあら、こちらのような依頼は普通別の依頼と抱合せに受ける類のものですけど」

「よく分からないし、取り敢えず稼がないとならないんで・・・」

「それもそうですねぇ。では、こちらで受理しておくので、お願いします。規定の大きさにあった物を集めて来てくださいね」カウンターの下からカタログ的なチラシを取り出してバルジェンに手渡す「これより小さい物は引き取れませんので」

「わーかー、りました」

「ミューズ海岸ではほとんど取れないので、ジュレー島上層に出るといいですよ」

 上層と言えば、チョウキ達が向かった地域だ。
 だからどうだ、という事もない
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