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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン88 真紅の暴君と紅蓮の災厄
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ができるだろう。だが極限のレッド・デーモン同士の戦いにおいては、すでに大勢は決してしまっているのかもしれなかった。

「バトルだ。行くぜ、タイラント!?魔竜王 レッド・デーモン・カラミティに攻撃!」

 またしても明るいオレンジの炎を燃え盛らせるタイラント、そして地獄の炎で食らい尽くさんと覚悟の瞳で拳を握るカラミティ。2色の炎が乱舞し、鼓膜の割れるような衝撃音が響く。一見すると拮抗しているように見える2つの力だが、少しずつその差が出始めていた。明るい炎が地獄の業火を侵食し、呑み込み、じわじわとだがカラミティの体にまで広がっていく。

「確かに攻撃力では上回っただろうけど、その差は100!まだ僕の手にはフォース・リゾネーターがある、カードさえ引けるならいくらでも戦える!」
「いいや、今度こそこれで終わりだ!速攻魔法、超再生能力を発動!」

 超再生能力?この場に全く関係のない遅効性のあるドローカードに、僕だけでなく遊もその真意を測りかねて眉をひそめる。だが次の瞬間、タイラントの纏う炎の勢いが一層激しく鮮烈になった。

「そしてこの瞬間、タイラントのもう1つの効果を発動するぜ。バトルフェイズ中に魔法か罠が発動した時、その発動を無効にして攻撃力を500アップさせる!これでとどめだ、獄炎のクリムゾンヘルタイド!」
「この、力は……!」

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント 攻3500→4000
→?魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ 攻3400(破壊)
 遊 LP400→0





「はー……」

 ライフが尽き、ごろんと大の字に寝転がる遊。さすがに体力と精神力が限界に来たのか、その場で膝をつく富野。どちらに行くべきか迷っていると、ふらふらになりながらも富野がどうにか立ち上がった。幾度も転びそうになりながら遅々とした足取りで寝ころんだままの対戦相手の元へ向かおうとする彼に、慌てて肩を貸す。

「……悪い」
「いやいや」

 気を失っているかと思ったが、意外と遊の意識はしっかりしているようだった。眼を開いて寝転がったまま、ダークネスの力なのか暗い雲の立ち込める空を見上げている。

「よう、気分はどうだ?」
「最悪だねー。よりにもよってレッド・デーモンとの同門対決で負けるなんてさ、プライドズタズタだよ」
「……そうか」

 富野の返事は短い。でも案外、今の遊の気持ちを最も理解しているのは、同じレッド・デーモン使いとして勝利した彼なのかもしれない。そんな感傷を振り払い、今度は僕が尋ねる。

「もう観念して、洗いざらい吐いてもらうよ。どうしてダークネスに手を貸したりなんて」
「いやいや。君が聞きたいのは、そっちじゃないはず。本当に君が知りたいのは、彼女……河風夢想のはずさ。違うかなー?」
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