ターン88 真紅の暴君と紅蓮の災厄
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の雨の中、ようやく得心した風に頷く富野。エクストラ・ヴェーラーは緩い特殊召喚条件に加え、おまけのようなバーンメタ能力を持つ。自身の効果による特殊召喚が成功したターン、プレイヤーの受けるすべての効果ダメージは相手プレイヤーが代わりに受けるようになる。これは発動する効果ではないためカラミティでも無効にできず、手札誘発なためアビスでも止められない。特殊召喚の効果を通さざるをえなかった時点で、ライフがすでに2000まで減っている遊は攻撃力3500を誇るタイラントを戦闘破壊できなかった、という訳か。でもエクストラ・ヴェーラーならばその攻撃力が低いから、高い戦闘ダメージを与えたうえで自身に降りかかるダメージも最小限で済ますことができる。
具体的には今の奴のライフでも、問題なく受け切れるほどには。
遊 LP1000→400
「カードを1枚セットして、ターンエンド」
正真正銘、奴の最後の手札がフィールドに伏せられる。タイラントの効果を承知のうえで伏せたということは、速攻魔法かトラップか。いずれにせよ、次が勝負の分かれ目になるだろう。もう2人とも、これ以上の展開に割けるだけのリソースを準備する余裕はないはずだ。
「俺の……ターン!」
このターンで決着がつくか、それともまたしても耐えきられるか。いずれにせよ、富野にとってこのデュエル最後の1枚となるであろうカードが引き抜かれた。
「このターンもタイラントの効果発動、アブソリュート・パワー・インフェルノ!吹き飛べ、カラミティ!」
再び全身に炎の鎧をまとい、タイラントが吠える。宙へと舞い上がった暴君の拳が地表で見上げるカラミティへと襲い掛かると、カラミティもまた地獄の炎を全開にしつつその右腕で迎え撃つ。互いに似通っていて、それでいて全く異なる暴君と災厄《カラミティ》の拳が、文字通り天地をひっくり返すような衝撃を引き起こした。
「速攻魔法、禁じられた聖衣を発動!カラミティの攻撃力を600下げることでこのターンカード効果の対象にならず、さらにカード効果で破壊されない効果を付与する!」
?魔竜王 レッド・デーモン・カラミティ 攻4000→3400
2大竜の激突が、ようやく終了する。だが、今のぶつかり合いに勝者はいない。攻撃を仕掛けたタイラント、それを迎え撃ったカラミティ、そのどちらも依然として自らのフィールドに睥睨して相手を睨みつけている。
だけど、本当にそうだろうか。今の衝撃に、カラミティ側は目に見えないが深刻なダメージを負っていないだろうか。現にその翼の端にはついさっきまで存在しなかったわずかな焦げ跡が存在し、地表を覆う地獄の炎の勢いも明らかに先ほどよりも弱まっている。無論、依然としてその力は強大であり、並みの相手ならばたやすく蹴散らすこと
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