第三部 古都にけぶる月の姫
また二人で
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?京都駅にはまだ赤龍帝達が居るから早く帰ってこい!!』
「あ、赤龍帝だ。曹操、後で掛け直すよ」
『おい文姫!まだ話はブツンッ……』
通話を切って歩き出す。後々何か言われるだろうけど、まあ今はいいや。
ちょうどよく赤龍帝は新幹線に乗車するところみたいだ。堕天使総督や、私達が捕らえていた九尾とそのお姫様も見える。現レヴィアタンもいる。
「―――やっほ、赤龍帝」
カツカツと歩み寄ってそう声をかけてやれば、周りにいたメンバーも含めてぎょっとした表情になる。直接の面識のない堕天使総督とレヴィアタンはただの警戒態勢で済んでいるようだが。
「あ、あんた英雄派の…!」
赤龍帝のその言葉に全員が身構える。
そんなに殺気立つようなこと…はしたけど。ま、嫌われ役は慣れっこだし。
「戦いに来たわけじゃないよ。別にやってもいいけど…誰にも見られずにやるのは、難しいんじゃない?」
ただでさえ人の多い駅のホーム、そして何より、赤龍帝たちの乗る新幹線までもう時間がない。
そんな状態でこちらを討ちに来るほど無謀ではないだろう。そう判断してこのギリギリの時間まで待ったわけだが…賭けには勝ったようだ。赤龍帝たちが構えを解く。
「…じゃあ、何をしに来たんだよ?」
「赤龍帝の顔を最後にもう一度見たくなった。それだけ」
なんとなく、会いたくなった。
言葉にしてしまえば、ただそれだけのことだ。
曹操があれほどまでに夢中になっている姿は、初めて見たから。一体どんなものだろうって、興味がわいた。
「じゃあ、バイバイ。次に会うのがいつか、保証はできないけど」
「あ、おい!」
目的は果たした。そう判断して背を向けた私に、赤龍帝の声がかかる。
「何?」
「あんたは、なんであいつに協力してるんだ?あいつに洗脳されてたり、ただ利用されているだけじゃ、ないみたいだけどな…」
あいつ、とは間違いなく曹操の事だろう。
曹操に協力する理由、か。そんなの決まっている。
「彼に、私は命も含めた全てを救ってもらった。だから、彼の力になりたい。それだけ」
生命の借りは、生命で返すしかない。
ならば、私の全てを捧げるなんて当たり前のことだ。
彼の傍にいたい。そのために必要なら、全てを捧げよう。
それができないのならせめて彼のために動く、それだけの『道具』であろう。
思いなどなくても構わない。対価など望まない。
――だって、もう、私は十分すぎるほどに、貰っているのだから。
赤龍帝の声に振り返らず、ひらりと手を振ってホームを後にする。
ポケットから携帯を取り出し、少しの間操作する。
『…どうした?』
「今からそっちに帰るね。心配かけてゴメン」
『………ああ。
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