第3章 リーザス陥落
第106話 戦うか、逃げるか
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〜リーザス城 2F〜
転移の光が玉座の間を照らした。
「っ……」
「な、なに!?」
アイゼルとサテラ、そして アイゼルの使途達は息をのんだ。
それは本当に突然の事だった。人間達とノスが相見えていた事も 復活した魔王ジルがその封印の間に降臨した事も知っていた。
最早逃げる場所もないが、サテラはせめて 主君と仕えていたホーネットの元へと逃げ……いや、帰還し報告をと考えていた矢先の光だった。
「……………!? ジル、様…………っ!」
「ひ、ひぃ…… じ、じる、サマ……」
魔王に従う魔人の本能。そして生存本能の双方が何もかもに優先して、アイゼルとサテラ 2人の身体を跪かせた。
「わ、わわわわ………」
当然、使途達も同じ様にだ。シーザーとイシスに至っては主サテラの命令がないのにも関わらず、サテラと意思疎通をしているかの様に首を垂れた。
「(そ、それにしても、あれ、ジル様……、なの? あんな姿、だっけ……? あれじゃトパーズみたいな……)」
「(どーゆー意味よ!)」
「(シャラップ!やめなさい……! こ、このインティミデイティング、確かに、魔王、ジル様の……)」
使途達がこそこそと言い争いに似たモノをしているが、アイゼルはそれを咎めたり御したりしない。……いや、する余裕が全くないと言うのが正しい。
「………………」
「っ……っっ……(ほ、ほーねっと……さまぁ……)」
黙して微動だにしない。それが主を迎えた我々魔人の唯一の作法であり、多少姿が縮もうと嘗ての主君をアイゼルが見間違う筈がない。サテラも本能には完全に敗北しており、僅かに残った心の隙間を埋める様に、今の……以前の主ホーネットに想い馳せていた。
「………………」
だが、そんな2人を見る事は…… いや、視界にすら入れる事なく、周囲にふらふらと視線を泳がせるジル。
その意味が判ったのはアイゼルのみだった。
「(……そう、だな。そういう方……だった)」
恐怖が、背筋を凍らせていくのが分かる。得体のしれない存在と相見えた時 確かに恐怖した。だが、それとはまたレベルの違った恐怖。かつての絶望を思い出せてしまったから。
『お前が、アイゼルが恐れている……と言う者は かの時代の魔の王か……』
不意に頭に過るのはあの時の声。
アレも全てを見通しているかの如き発言をしていたが、この結末をも想定していたと言うのだろうか。
アレは、十中八九 ほぼ間違いなくあの人間に関係する何かだ。
人間ではありえない威圧感をもっていて、更に間違いなく人間に与している。ならば、そんな者が、ここまで見通していたのであれば、何故事前
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