第3章 リーザス陥落
第106話 戦うか、逃げるか
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『アレは、恐らく大量の血を失い、且つ魔王の力も殆ど失っている。……ああ、クルックー。1つ聞きたい』
ユーリの問いにクルック―はゆっくりと頷いた。
『まだ、暦は変わってないよな』
『はい。……そう言った通達は来ていません。もしも、変わったのであれば、直ぐに判ります』
その言葉の意味を理解出来ない者が殆どだった。
それを悟ったクルック―は補足する。
『次の魔王が出現すれば、……即ち時代が移り変われば、それを知らせ花が存在するんです。魔王が生まれたなら……』
クルックーは懐の鞄から花を取り出した。いや、厳密には花は咲いていない。蕾のままだ。
『花開き、それを告げてくれます』
『……本部からの連絡とかじゃなく、それを持ち歩いてるのか。ある意味そっちに驚きだ』
『ええ。大変希少なのですが、運よく持ってまして。ここ以外には恐らくAL教本山の聖堂奥にしかないかと』
『……ロゼと似た様なものか』
『なーんでそこで私の名が出てくるのかしら? んな金にならないものなんて、私持ってないわよん』
クルック―とロゼのやり取りにまた、空気が弛緩したが それも一瞬だった。
『と言う訳だ。……流石にどれくらい消耗しているのかわからん。……だが 今逃げたら、それだけ力を蓄える時間を与えるも同じだ。戦うのなら、今が最初にして最大の好機なんだ。……逃せば、人類は終わる』
全員の眼を見た。
『かといって、生半可かな戦力じゃ近づく事も容易ではない。人類が一致団結して、なんて話も夢物語だ。……オレ達がやるしかない』
その数秒後……今度は眼を閉じた。
『勿論、強制はしない。よくよく考えたら、何かリーダーの真似事をしてるが、オレじゃなくランスだし。相手が相手。逃げたいと思った者を引き留めたりはしない。最後は自分で決めてくれ。戦うか、逃げるか。―――オレは決まっている』
上部を見上げて続けた。
『オレには辿りつかなきゃならない所がある。……こんな所で終わる訳にはいかない』
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