第3章 リーザス陥落
第106話 戦うか、逃げるか
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に言えば ここらで撤退戦に切り替えた方が生き残る可能性が高いと思うわ』
リーザス解放を掲げて戦ってきた。それが敗走する……となれば、納得など出来る筈もないが、相手が魔王であればそれも致し方ないと判断するだろう。全ての人類を滅ぼす事が出来る存在なのだから。歴史がそれを物語っているのだから。今の時代が幸運であるだけであり、ほんの少しのズレ、歪で それは儚く、脆く散ってしまう。何千年もの間虐げられ苦しめられた。そして 魔王ガイの時代……境界線が作られた。ただ、それだけなのだから。人間が勝ち取り、得たからではないのだから。
『……ほんと、優しくなったよな? フェリス』
『……は?』
フェリスの頭にぽんっと手を置くユーリ。
そしてフェリスは呆けてしまい。素っ頓狂な声を出してしまう。
『戦えば死ぬって判るから止めてくれてるんだろう? オレが死ねば、オレやランスが死ねば、フェリスは自由になれるって言うのに。……皆の事を考えてくれてありがとな』
『ななな、何馬鹿な事言ってんだ!! わ、私は アレと相対したくないだけで……。ゆ、ユーリたちと一緒なら、絶対……アイツと戦うから……』
『(言い訳になってないわねぇ……? 戦うから〜って、私も一緒に戦う〜って言ってる様なもんだしぃ?)』
『(だねぇ〜。愛ってヤツだねぇ〜)』
『(…………)』
『(し、志津香。顔、顔怖いってば)』
それはいつもの光景……ではない。口に出さない、行動で示さない。それだけでもある意味異常だ。その空気が弛緩する様な軽いやり取りさえ、今取る事が出来なかった様だ。
『ああ。逃げるのは正直な所反対だ』
『……ユーリさん。その訳を訊かせてもらえますか?』
『勿論だ。根拠ないって訳じゃない。……ま、ランスが起きてから話したいと思ってたんだが、………起きててもコイツは訊かんから、シィルちゃん。覚えといてくれないか?』
『あ、はい!』
せっせと回復に努めてるシィルにそう言うと、ユーリは皆の前に出た。
『魔王は完全じゃない筈なんだ』
『え……?』
ユーリの言葉に皆が注目した。
『ジルはお魔王ガイの前……先々代魔王だ。魔王は任期が過ぎるとその力を失う。次世代の魔王に継承する事になる。ガイが魔王になったのは、恐らく カオスでジルを封じた時、返り血を浴びたんだろう。……魔王の血を浴びれば、そのものが次の魔王になる』
それは、AL教でも上位に位置する者しか知らない世界の極秘の1つ。魔王の継承条件。それが何で一介の冒険者が知っていると言うのだろうか。最早冒険者としての嗜みの1つ、などと簡単な事で終わらせられるものじゃない、と思ったのはクルックーだった。それでも今言及したりしないのは 現状をどうするかが第一だから。
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