第3章 リーザス陥落
第106話 戦うか、逃げるか
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…………』
『トーマ。今更責任を取り、自害を。等とは言わないよな?』
『言わぬよ。清十郎。……もはや儂程度の首1つで済む様な小さな話ではない』
眼を瞑り、考え込んでいた清十郎が口を開いた。そしてトーマも同様だ。
あの魔王を前にし、その強さを身体中で感じた。かつてない死を予感させた。その計りがこれから起こるであろう惨劇を容易に連想させたのだ。人類最強の称号を冠していたトーマもそれは例外ではなかった。
『……あの女。ほんとに、魔王………なの……』
不意にリアも口にする。
ランスの傍にいて、シィルに二度三度苦言を言ってやろうとしていたが、魔王の話題になればそうはいかない様子だった。それに応えるのはマリス、そしてユーリだった。
『確かに立ち姿と伝承は少し違いますが、……アレは間違いないと推察されます』
『間違いなく魔王だ。……先々代魔王ジル。人類にとって最悪。最凶と称される魔王』
まるで詳しく知っている様に話すユーリ。
その知識についてルーツまでも詳しく訊きたかったマリスだが、今は口を噤んだ。
『あの傍らにいた魔人ノス。その名はオレ達でも十二分に知ってるだろ? 闘神都市での魔人戦争……。その逸話は吟遊詩人の詩にも載っている程の大物。アレがあそこまで従う姿勢を見せる相手など、魔王以外にいない』
ノスの伝説は 異国から来たと言う清十郎を除けば、この場にいる殆どの者が知っている。(ランス知らんと思うが)そのノスが……と言う件の話を訊き、誰もが納得する事が出来た。出来たと同時に恐怖もする。
あれが間違いなく魔王である、と改めて思い知らされる結果となったのだから。
『……お恥ずかしい限りです。私は、動く事さえも満足に出来ず』
『それを言うならば、オレもだ。死合うと口にしておいて、情けない』
『儂もだ。……(この中で、躊躇せず飛び込んだのはユーリただ1人。………恥じる所は当然。じゃが、なぜそこまで迷いなく魔王相手に……)』
珍しく悔しそうに表情を歪ませる解放軍のトップクラスの戦力である3人。魔王相手に悔しがる事が出来る事事態が異常だと言えるかもしれないが、そこをツッコむものなど誰もいなかった。
そして、更にトーマが想うのはユーリの事だ。魔王相手に臆するどころか、最高の業を叩きこみにいった。まるで、御伽噺に出てくる勇者の様に。何故 そこまで出来るのかがトーマにとって不思議でならなかったが、今は口にする事はなかった。
『それで……?』
そして、ユーリの傍らにいたフェリスはゆっくりとした動きでユーリの前に出た。
『どうするって言うの? ……あれを前にして戦意を失わずさらに啖呵切った事自体 大概おかしな話だけど。……見逃してもらった、と受け取っても良いんじゃない? ……正直
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