第3章 リーザス陥落
第106話 戦うか、逃げるか
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〜リーザス城 王女の大居室〜
視界は真っ暗だった。いつから暗いのか判らない。ただ、闇の中でランスは身体が動かせずにいた。そんな世界で小さく、それでいてはっきりと聞こえてくるものがあった。
「……ぃたいの、とんでけー……とんでけー………」
「ん………?(なんだ、声? それに柔らかい感触が)」
そう、小さな声。だが自分はこの声の主を知っている。いつもそばにいて、それが当たり前で、空気の様な存在。……奴隷と言う名の……。
「む、お……。ふぁ……ん、ここは……?」
「あ、ランス様。お体は大丈夫ですか? 一応、ヒーリングはかけておきました」
「ふむ。問題はない……が、ここはアレか。封印の間の上の。リアの部屋か」
「そーだよー。それにそこはリアとダーリンの愛を育む為のベッド〜 なんだけど、そこの奴隷がどーしてもってさぁ……」
「は、はぅ…… で、でも やっぱりユーリさんの言ってた通り、こうした方が……」
シィルはリアの眼光に竦みあがりそうになったが それでも今は何がベストなのかをしっかりと告げた。その事に関してはリアは渋々了承している為、問題ない。マリスが入れば マリスに任せる所なのだが、今は別用で出払っているからそれも出来なかった。
「む。どういう事だ? それにオレは何時の間に眠ってた?」
「この部屋まで来た途端でした。驚くほどあっという間に……」
「むむ……。そういやぁ戦争が始まってからあんま寝てなかった気がするからな。しょうがないか。がははは」
「(んな訳ないでしょ。色んな子と寝てた癖に……)」
影から見ていたかなみは、ジロリとランスを睨む。
この部屋にはいないユーリと一緒に行動を共にしたかったのだが、リアがこの場に残る事。最低限の戦力は残す事と色々説得に近く諭されてこの場に残る事にした。ユーリ直々だったから、仕方ないのも確かだ。
「(……でも、本当に大丈夫……なのかな。こんなゆっくりしてて。……い、いや ユーリさんを疑う訳はないけど…… ど、どうしても不安は残るから。……あんなのを目の当たりにしたら……)」
思い出すのは、ジルと相対したあの時。
確かに、ジルは姿を消した。圧倒的な圧力も同じくあの場からは消失した。ユーリたちの話では上に強い圧力を、あの禍々しい気を感じるとの事だったが、それでも 同じ空間にいなくなった、と言うだけで包まれた安堵感は半端ではなかった。
どれだけ通じるかはわからないが、部屋に結界を施し、更には ロゼの秘蔵の結界アイテムとやらも発動させ、少しばかり安心する事が出来た部屋に到着した際には、ランス程ではないが、殆ど全員が身体から力を抜けてしまった。
ベッドを見るなり、ランスは
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