第3章 リーザス陥落
第106話 戦うか、逃げるか
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に防ごうとは思わなかったのだろうかと思える。
だが、そんな思考さえも黒く塗りつぶしていく様に、ジルの姿がより一層大きく視界に映った。
「くくく…… アイゼルよ。ようやく……ようやくだ。思いは成ったぞ」
勝ち誇る様に、声量こそは小さいモノのいつもより遥かに陽気な声をノスは上げていた。
「ええ、ノス……あなたの執念の、勝ち、ですよ」
アイゼルは思い出していた。
魔剣カオス、魔王ジル。
それらは、いずれも千年前に……しかも詳細は不明なままに消え去ったものだった。そして消失と同時に新たな魔王ガイが誕生した。 ガイが何かをしたのは一目瞭然だったが、魔王と魔人の間には絶対服従である為詮索など出来るハズがない。
それを今日にいたるまで隠れ調べ続け、己例外も動かし、更に利用して開封に至ったノス。最早執念の塊と言う他にはない。
「もはや、ホーネットに……ガイの娘なぞに従う素振りも必要ない。真の主に忠誠を捧ぐ時が戻ってきた」
「……そう、ですね。選択肢もない話です」
「して……サテラよ」
「っっ!!」
ずっと頭を下に、ノスにさえ視線を合わせられず、身体を小刻みに震わせていたサテラ。不意に呼ばれ、身体に電流が走った様にビクンっと震わせるとおずおずと頭を上げてノスを見た。
「選択肢も無い話……アイゼルは判っておる様だが、貴様は判っているのか?」
「な、なにが……だ? ノス」
「ジル様は、ガイめに封殺された。……長きにわたり苦しめ続けた。そして、今貴様が主君と崇めているのはホーネット。……ホーネットはガイの娘。その罪、子にも向けられると言う事だ」
「っっ……!!」
ホーネットには関係のない話だ。
魔王ガイ……、ガイがジルを殺し、魔王を継承した。その後に生まれたのがホーネットなのだから。だが、そんな話が通じる相手ではない。
「言うまでもなく、訊くまでもない話だが、……誰に従うのか、キサマの口から聞いてみたい」
ノスはにやりと笑ってそう言う。そしてサテラは震えている。
ホーネットを、裏切る他ない。……否、ホーネット自身もジルに従う他ないのだから 厳密には違う。でも、ホーネットが殺されるのは間違いない。ノスのガイへの憎しみ。それが娘にまで向けられている事は判っているのだから。
「ジル……様、です」
「ふっふっふ…… それで良い」
満足した様に呟くとノスは背を向けた。
「(ふん。……目の前でホーネットを徐々に苦しめ、血祭に上げ、少しでも止めようものなら同じ地へ送ってやる)」
――ノスはサテラをホーネットと共に殺すつもりなのだ。
ホーネットが傷つけられれば、如何に魔王の行為とは言え 少しも黙ってみていられる筈がない。長く共にいた時が長けれ
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