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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第69話『霧の中の光』
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、霧が無ければ魔術で確実に打ち負かせる。
加えて辺りは火の海。長期戦になろうとも火耐性のある伸太郎の方が有利だ。


勝った────そう確信した瞬間だった。


「……ッ!!」ブワァァァ

「はっ、無駄だ。また木を燃やせば・・・」


そこまで言いかけて伸太郎は気づいた。火の海が霧に触れた途端、瞬く間に消えたことに。伸太郎はすぐさま自分の右手に炎を灯そうとするが、点いた炎は水をかけられたように一瞬で消えてしまった。


「しまった…!」


その理屈に伸太郎が気づいた時には、濃霧が再び森を飲み込んでいた。






結月救出のため、森を進軍する一行。先程ミストに伸太郎で応戦させ、今は道無き道を登っている。


「大丈夫かな、暁君…」

「確かに不安だが、アイツのことだ。姑息な手段でも取って、時間を稼いでくれるさ」


伸太郎のことが気が気でない晴登に、終夜は声をかける。雑ではあるが、晴登が前を向くには充分な言葉だった。


「…道が開けてきた。気をつけろ!」


カズマの言葉を聞いて前を見ると、森を抜けた先に、無魂兵と戦った草原のような場所が見えた。流れでいけば、ここで幹部が居る確率が高い。



「…こんばんは。お待ちしてました」


「誰だ?!」


再び登場した草原の中央に、一人の女性が立っていた。目が隠れるほどの長い黒髪をしており、異様な雰囲気を醸し出している。


「私が誰かですか……幹部が一人、"魔女のウィズ"と名乗れば、わかりますか?」

「お前が…!」


"魔女のウィズ"、道中で婆やが話した幹部の通り名の一つだ。その通り名からは"魔女"ということしか予想できないが、恐らく魔術には長けているだろう。


「…俺が行く」

「部長!?」

「こいつから漏れ出る魔力……只者じゃねぇ」


部長がそう評価するということは、とんでもない相手だ。晴登にはまだ魔力を感じる心得は無いが、それでも得体の知れない者を前にしているという実感はある。


「カズマさん、コイツらを頼みますよ!」

「おう、任せとけ!」ダッ

「…部長、頑張ってください!」ダッ

「言われるまでもねぇ!」


後ろ髪を引かれる想いではあるが、終夜の厚意を無駄にはしたくない。親指を立てる終夜を背に、晴登たちは先へと進んだ。


「結月、もう少し待っててくれ…!」


結月の無事を祈り、晴登はひたすらに駆けた。

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