第5章:幽世と魔導師
第151話「激闘の一方で」
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「(……その結果が、これかぁ……)」
結論から言えば、正しく幽世の還る事が出来ない。
そして、大門が開かれた事で、残っていた“薔薇姫”と言う器に、妖としての霊力が注がれる事になってしまう。
そうなれば、もはや目の前にいるあたしは、“薔薇姫”と言う式姫ではなく、妖と言う存在となってしまう。
「まったく、今になって出てきてこないでほしかったね……!」
幽世に還れなかった、“式姫としてのあたし”の体。
それは、大門が開かれるまで実体を持っていなかったのだろうけど……。
こうなると分かっていれば、器を探していたんだけどなぁ……。
「(なってしまったのは、仕方ない。とにかく……)」
「―――――」
「(倒さないと……!)」
蝙蝠になって、その場から離脱。
すると、寸前までいた場所を、黒い剣がいくつも現れて貫く。
あたしの得意技、“呪黒剣”だ。
「っ、ぁあっ!!」
魔力弾を放ち、牽制する。
同時に、上から斬りかかる。
「くっ……!逃がさない!」
だけど、それらの攻撃は蝙蝠に変化する事で避けられる。
そこを生成したレイピアを射出して狙う。
「はぁっ!」
レイピアすら蝙蝠状態で避けられる。
だけど、直接斬りかかる事で何羽か切り裂く事に成功する。
「……大したダメージはない……か」
「………」
元に戻った相手……“薔薇姫”は、腕が少し切り裂かれていた。
先ほど蝙蝠を斬った影響だろう。
……でも、それはすぐに治ってしまう。吸血鬼だからね。
「……我ながら、厄介だなぁ……」
力を失っていた時ならともかく、万全のあたしは生存能力が高い。
蝙蝠になれば自身の狙っていた攻撃は避けられるし、再生能力もある。
一気に消し去るような、広範囲技でない限り、あたしをすぐに倒す事は出来ない。
「………」
「………」
“薔薇姫”は、喋らない。
妖の中には喋る者もいるし、大門の守護者……とこよちゃんも喋る。
基本的に、人型は喋る場合が多い。
それなのに喋らないのは、“あたし”と言う自我がこっちにあるからか、妖として変質した際に喋れなくなったか、それとも……。
ッ、ギィイイイイイイイイイイン!!!
「っ……!!」
「……!!」
一際大きな音が、聞こえてくる。
優ちゃんと、とこよちゃんの刀がぶつかり合った音だ。
それを合図に、地面に降り立ったあたしと“薔薇姫”はぶつかり合う。
「ふっ……!」
「ッ……!」
―――“闇撃”
―――“闇撃”
レイピアを幾度もぶつけ合い、同時に霊術を放つ。
闇色のそれは、相殺され
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ