第5章:幽世と魔導師
第151話「激闘の一方で」
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「っ……なんて、速さだ……」
アースラにて、優輝の戦闘を観測していたクロノが思わず呟く。
そしてそれは、同じく映像を見ている者全員が思っている事でもあった。
「(確かに、こんな戦闘に介入できるはずがない。次元が違いすぎる。見ている限り、音速以上が普通の世界じゃないか……!)」
優輝や椿達の言葉を疑っていた訳ではないが、それでもクロノは思っていた。
“自分達でも戦えるのではないか?”と。
だが、この戦闘を見てそんな考えは吹き飛ばされた。
優輝が言った通り、身体強化を極限まで施した司ぐらいでないと介入できないからだ。
「クロノ君、指示通り、皆には偽物の心配はもうないと伝えておいたよ。でも……」
「油断はするな、とは伝えたのだろう?なら、それでいい」
サーチャーの映像から目を離さず、エイミィの言葉に返事する。
クロノ達にとって、なぜ葵以外の式姫の偽物がいないと断言できるか分からない。
優輝が確信を持って発言をしていたから、その通りに伝えただけだ。
だが、この状況でそんな決めつけをする程、優輝が浅慮ではない事をクロノは知っていたため、その言葉を信じて他の式姫たちに伝えるように指示したのだ。
「……凄いね」
「ああ。お互い、睨み合う時間を作る暇を与えていない。あそこまで息を付かない戦闘は、僕にもできない。あれじゃ、バインドでも捉えられないだろうな」
「援護は不可能って事かぁ……」
どの道、守護者は体から漏れ出る程の瘴気を纏っている。
そんな相手にバインド程度の魔法を当てた所で、すぐに打ち消されてしまう。
よって、援護すらできない状態であった。
「何とか出来るとしたら、こっちだな」
「葵ちゃんと司ちゃんの方……だね」
別のサーチャーの映像を出す。
そこには、偽物と戦っている葵と、巨大な龍の前に佇む司が映されていた。
「葵は援護できそうだが、司の方は……」
「無理、みたいだね……」
葵は拮抗した戦いだが、司はもう援護する事ができそうになかった。
優輝と守護者の戦いの余波によって、龍が目覚めてしまったからだ。
「あはは……魔力計測器が振り切れちゃってる。あそこの人達大丈夫かなぁ……」
「ジュエルシードを全て使っているからな……」
映像に映るのは、途轍もない魔力を溢れさせる司の姿。
映像越しだからわからないが、目の前の龍の強さを、司は理解していたのだ。
だからこそ、最初から全力で戦うつもりだった。
「……くそっ、失念していたな……」
「あの戦いの影響下じゃ、避難もままならないよ……!」
「転移
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