epilogue in 2314 ?
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後に、ワン・チャウメイ少佐から名指しされ、司令室に呼ばれた。何ごとかと思うと、少佐は今回の件の結末を教えてくれた。
今回の一件の収拾は、やはりソレスタルビーイングが絡んでいた。彼らは、軍事行動を止めないX国、Y国に対する武力介入を図っていた。だが、X国に紛争意欲がないことを知り、Y国軍のみを対象に絞ったらしい。
結果、停戦監視団が両国に連邦の軍事勧告をしている最中にY国軍がソレスタルビーイングと交戦し、部隊が壊滅。バックアップについていた旧人類軍が現地を手放したことから、Y国が速攻で休戦を判断したそうだ。
チャウメイ少佐が椅子にもたれかける。
「Y国は旧人類軍のバックアップを受けていた。だが、それは軍備だけに過ぎない。国力は少しずつ低下し、国民は疲弊していた」
「両国の和平交渉は、停戦監視団を仲介にして進めています」
「ああ。……Y国が紛争で滅亡する前に、この方向へ持ってくることができたのは良かった」
チャウメイ少佐の目つきの悪い視線が俺に突き刺さる。
「少尉。貴官は、この和平交渉は成功すると思うか?」
これは質問というよりかは、関係者としての志を確認するものに聞こえる。
俺は頭の中で言葉を整理してから口を開いた。
「革新的な進行ではなく、交渉を漸進させていきたいと考えております。今は両国とも戦いを止めたばかりで進むべき道を考えあぐねています。その間に入り、フォローと第三者視点による監視こそが、停戦監視団の役目です」
休戦になったからといって、全てが収束に向かうわけではない。紛争がもたらした経済損失、人口減、一極集中の国運営ーー。今の改善点をあぶり出し、全てを転換しなければ紛争はまた起きるだろう。
「自分は、その長い過程を肯定します。その積み重ねが、双方の納得を膨らませ、交渉を重厚にするからです」
チャウメイ少佐は俺から目を逸らし、立ち上がった。背後の窓の前に立ち、外を眺める。室内に静寂が落ちた。
やがて、少佐は小さい声で、しかし俺に向かって言葉を口にした。
「きみの働きかけは、近い将来に訪れたであろう一国の滅亡を防いだ。賞賛に値する」
「もったいないお言葉、痛み入ります」
「以上だ。職務に戻りたまえ。次の現場は東南アジア寄りだったな。X国の友好国で、Y国への貿易規制をX国と共に仕組んでいた……」
少佐が苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。結局、X国もX国なのだ。周辺地域に根を這わせ、戦いの火種を点火させる。彼らもまた、紛争に勝つために本気だった。
この世界から、戦いを消すことが本当にできるだろうか?
「はい。現場へ向かいます。失礼します」
俺は敬礼し、司令室を出た。ドアの前で再び
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