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の言葉が信じられなかった。いや信じようとしなかったというべきか。俺の否定を無視して、淡々と彼は続けていく。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的なログアウトすることはできない。また、外部の人間によるナーヴギアの停止や解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合……』
少しの間をおいて、静寂に満ちた空間の中、世界の真実がじわりじわりと蝕むように告げられていく。
『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる』
一瞬その言葉が理解できなかった。生命活動の停止。一秒以上かけてその言葉が意味するところを悟った。つまり、死。
今このゲームをプレイしていない誰かが、ナーヴギアを外したり電源を落としたりすれば被っている人間が死ぬ。茅場晶彦は今そう言ったのだ。
『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除また分解、破壊の試みのいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件はすでに外部世界では当局及びマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点でプレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果』
一呼吸おかれる。しかし、俺はその先を決して聞きたいとは思わなかったし、聞きたくはなかった。だが、無情に、淡々と、無機質な声は言葉を繋いでいく。
『―――残念ながら、既に二百十三名のプレイヤーが、アインクラッド及び現実世界からも、永久退場している』
どこかで、細い悲鳴があがる。それを耳にした瞬間に走る、強烈な寒気。これが現実なのだという、意識の変革。
「うそ、だろ……」
呆然とした声しか出なかった。周りにいる奴らも、みんなその言葉を完全に現実と認識できていない。まだ、単なるデモンストレーションなのではないか……そんな風に思っているのだろう。俺だって、全然信じられない。
『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要は無い。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ている事も含め、繰り返し報道している。諸君のナーヴギアが強引に除装される危険は既に低くなっていると言ってよかろう。今後、諸君の現実の身体は、ナーヴギアを装着したまま二時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へと搬送され、厳重な介護態勢のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい』
俺たちの焦りとは裏腹に穏やかに告げた茅場の台詞に、誰かが鋭く反論した。
「何を言ってるんだ!ゲームを攻略しろだと!?ログアウト不能の状況で、呑気に遊べってのか!?こんなの、もうゲームでも何でもないだろう!!」
しかし、その声
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