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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第43話 『手加減』
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「あの、コタロウさん、キャロはもう……」
「先ほどは比較させるため大きく殺気を出しましたが今度は順を追っていきます」


 よろしいですか? と再度たずねるとキャロはおずおずと頷いた。


「それでは目を瞑ってください」
「……はい」


 隊長陣は少し不安げだが彼は構わず進めた。


「もう、限界だと思う早い段階で手を上げてください」
「わかりました」
「……これくらいの気はどうですか?」
「大丈夫です」


 ゆっくりジワリと殺気を繰り出す。


「これは?」
「大丈夫、です」


 それを何回か繰り返していくうち、キャロは手を挙げ、


「これ以上は……」
「わかりました」


 それでは。と、コタロウは目を瞑ったままのキャロの前に手を出すと、彼女はびくりと体を震わせた。


「反応できていますね。それでは今、私が何本の指を出しているか分かりますか?」


 彼は正面に指を立てると、


「1本です」
「正解です」


 では、さらに。と指の数を変えると全て反応できていた。


「では次に殺気を少なくしていきますので、私の気配を失わないように繋ぎとめてください」
「わかりました」


 周りの人たちが分かるほど少なくなり、キャロも繋ぎとめるために全神経で注意を払う。


「今からゆっくりと手を振り下ろしますので感じたら避けてください」
「……はい」


 コタロウは右手を上げるとゆっくりと振り下ろすと、キャロは目を閉じているにもかかわらず避けた。


『……』


 全員が黙ってみているなか、他にも彼は動作を繰り出し、キャロはその全てを避けてみせた。


「目を開けて構いません」
「……はい」
「ありがとうございました」


 目を開ける彼女に彼は礼を述べるとコクリと頷いた。


「と、このように恐怖という受信機に抗わずに研ぎ澄ましていくと、見えないものに対しても近づけば反応し、避けることができます。逆に死線を判断し恐怖を押さえつけてしまう方は、今の私の出した殺気以上の体験をして体に覚えこませないと見えないものを避けるのは不可能である。ということになります」


 彼はさらに続け、


「シグナム二等空尉の勘も似たようなものですが、今まで経験してきた研ぎ澄まされて生まれた『戦うための勘』であるので、私やキャロの『逃げるための勘』とは異なるものですが、どちらもある領域を越えると差は出てきません」
「私たちは構えた時点でその機能で避けることはできないということですか?」
「はい。これからくぐる今以上の死線や恐怖の中で学び取るしか方法はありません。私が教えられないというのはそういう意味で
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