暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第43話 『手加減』
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の模擬戦は一見フェイトとのときより遅く見えたが、それは連撃のすき間で詰め合いをしており、それに気づいているのは隊長陣だけである。


「ティア」
「はい! 先生!」
「放ちます」


 突然の通信が入りすかさず反応すると、ティアナはよりいっそう集中力を上げ二人に焦点を絞った。それを聞き全員が反応する。
 コタロウは飛ぶというより、空中に地面を形成している状態であり、蹴りの反動を利用し距離をとった。


「……お前の表情を変えてみたいものだ」
「それを苦悶というものであるならば、トラガホルン両二等陸佐と同じくらいの脅威は感じています」
「フ、光栄だ」


 シグナム、コタロウ二人とも呼吸は乱れていない。


(距離をとったということは、技か)


 と思うのも束の間、彼は距離をつめてきた。


「くッ――」
「ネコのて」


 そうしてまたコタロウは蹴りを繰り出すが、先ほどの『ネコあし』に比べると遅く、視認できる速度である。シグナムは彼の攻撃が頭に横に薙ぐ蹴りであったため、腰を下ろし避け、切り込もうとする。


「ガァ!?――な、ん」


 避ける反動で髪が跳ね上がり、その蹴りが(かす)っただけなのに、打ち下ろす衝撃が頭に響き意識が混濁する。


「ネコ……」


 次は見極めようとするが


「あし」


 放たれたのは今まで『勘』で避け、弾き続けた蹴りであった。
 シグナムは初撃と同様に地面を削ろうとするも軌道を変えて飛び上がり、


「……」


 先ほどよりも高い位置でコタロウを見下ろした。


「……コタロウ」
「はい」
「今の蹴りで分かった。貴様、手加減したな」


 無傷でないシグナムの表情は冷静だ。


「はい」


 対するコタロウの表情は変わらず無表情である。


「理由は?」
「模擬戦であるからです」
『……』


 表情を変えずお互い無言で、風だけが彼らの髪を揺らすと、


「……フフフ」
『(シグナム(副隊長)が笑った……!?)』
 一瞬だが親しい人でも滅多に見ることのできない表情を彼らは見た。


「模擬戦、終了だ」
「わかりました」


 シグナムは騎士甲冑を解き、コタロウは魔力で一段一段降りて、地面に着地した。


「『シグナムの手加減』……か。ヴィータめ」


 どうしてくれようか。とヴィータを見据えると彼女は首を傾げていた。






△▽△▽△▽△▽△▽






「先生?」
「はい」
「あの『ネコのて』ってどんな技なんですか?」


 コタロウが工具をしまっている最中に、ティアナが話しかけ
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