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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第43話 『手加減』
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す。シグナム二等空尉のような勘を磨きたいのであればあらゆるタイプの方々と戦い、自分の身体へ昇華することとなります」


 そういって、彼は締めくくった。


「……勘。か」






△▽△▽△▽△▽△▽






 キャロは時間のあるときにコタロウに気配の探り方をならうことを決め、ティアナは今までの訓練が次の訓練へのほんの触りであることを思い知らされた。ティアナはなのはに連携訓練はあと数日待っていただきたいと直訴するほどであった。


「ゼェ、ゼェ……」
「……」


 今、彼女はコタロウと対峙しており、一方コタロウは大きくした傘を広げ自分の姿を相手に見せないようにしていた。石突を彼女の額近くに構え、それは銃口を突きつけている状態に見て取れた。
 コタロウの次の訓練はいつトリガーが引かれるかも分からない銃口の前に立ち、撃ち出された弾に当たる前に避けるか弾くというものであった。銃口から撃ち出されるのは殺傷能力のない空圧弾だが、当たれば吹き飛ぶのは確実である。
 そして彼女はもう小一時間そうしている。打ち上げたボールに対処するというのは時間はある程度限られたものだが、この訓練は時間の長短に規則性が無く完全にランダムであるため、集中力を切らす暇が無いのだ。そして、これは3ターン目であり、転がった地面の汚れが目立っていた。


(もう、どれく――)


 ティアナは弾に当たり、また地面を転がる。


「立ってください」
「ガァ……は、い」

(だめだ、集中するんだ)


 全ては撃ち出される弾以外の気を持つと狙われたように撃たれた。


「お願いします!」


 彼女はふらりと立ち上がってまた全神経を額に集中する。


「ア゛ァ……」


 しかし、向けられた瞬間に撃たれ転がった。


「立ってください」
「は、はい……」

(え、えーと。違う。『集中しろ』と自分に命令するんじゃなくて)

「私は集中している。集中している……」


 呼吸を整え、自分で自分に言い聞かせて立ち上がる。もう自分の才能のあるなしより、弱気で失敗を想像して、失敗どおりに身体が反応し、失敗する可能性を育て上げるのが何より嫌だった。


(次は上手くいく、今よりちょっと……昨日よりずっと……)


 毎日毎日、心身ともに疲労で満足する日なんてないが、ティアナの目の光がくすむことが無いのは周りの誰が見ても明らかであった。





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