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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第43話 『手加減』
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 コタロウにとっては普通よりやや易しめに設定された訓練はティアナにとっては今までの訓練のどれよりも過酷であった。
 倒れそうになると、


「――アウッ!」


 身体のとある箇所を押させると反動で拒絶され、


「――かふッ!?」


 吐きそうになると全身に気合を入れられ飲み込んだ。
 その訓練模様は他の新人たちの近くで行なわれるときもあり、時々視界に入る彼女の佇まいは訓練の集中を欠いてしまうほどである。なのはの、


「ほら、集中して!」


 といわれてティアナへの心配を振りほどいた。
 なのはもそれを見てか数日の間はスバルとの連携訓練はせずにいた。朝昼夕食の食べる以外の時間は全てコタロウに委ねられ、室内でもできる集中力向上法で神経を極限まで衰弱させられた。夕食の後も寝る前まで室外での訓練法により心身ともにすり減らし、夜は泥のように眠った。
 ただ、朝は不思議なくらい疲労が取れていた。
 コタロウ曰く、


「全身隈無く刺激をし、マッサージをして、寝ることに対しても集中させています。一つ一つ説明をしても構いませんが、それは高町一等空尉に全て展開しています。ランスター二等陸士は訓練に集中してください。細工は流々。です」


 とのことだった。
 そして日を追うごとにボールに触れる機会が増え始め、神経衰弱も取得枚数を増やしていった。もちろん、コタロウに勝てるまでではなかったが。





 ところで、段々と無視できないことがティアナの中で起こリ始めいた。それはこの訓練を始めてからコタロウとの接点が以前よりずっと増えているのに、「ランスター二等陸士」、「ランスター二等陸士」と常に呼ばれ続けていることである。こちらは「ネコさん」、「ネコ先生」と呼んでいるのにも関わらずである。ティアナは失礼であるのはわかっているがもう抵抗がなく親しみや尊敬を含んでコタロウをそう呼びたいから呼んでいる。確かに、既に彼の呼び方を変える方法は知っているし、制服を着ていればそれがなおさらなのも分かっているので理解はしている。それでも、それでもである。彼女にとっては人懐こいスバルと同様にコタロウに名前で呼ばれたいと強く願い始めていた。だが、一日人権無視ともとらえかねない訓練で周りとの会話も減り、夜は気絶に近い睡眠をとるため、名前呼びの方法を取る時間を割くことができなかった。取るためには特訓による疲労からからくる睡眠に耐える決死の思いが必要である。
 そうしてとある夜。


「……んぅぁ」
「ティア、どうしたの!?」


 コタロウに運ばれ、寮の部屋で先に眠っていたティアナが突然亡霊のようにむくりと起きあがった。
 スバルは目を見開いて驚き呼びかけるが返事が無い。
 のそり、のそり
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