Lv63 狭間の門( i )
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場所を何かに例えるならば、果てしなく続く雲海といった感じだろうか。とにかく、俺が今いるのはそんな所であった。
「俺は一体……どこに行けばいいんだろう。誰もおらんから、訊く事もできないな。死後の世界なら、誰か迎えに来ても良さそうなもんだけど、そんな気配ないし……ン?」
周囲をキョロキョロと見回していると、俺の視界に、あるモノが入ってきた。
それは現実世界にあるパルテノン神殿のような建造物であった。
なぜか知らないが、この白い雲の世界に、それだけがポツンと建っていたのだ。
「おお……なんか知らんけど、あんな所に神殿みたいなのがあるじゃないか。あれが天国への入り口かも。まさかとは思うが、天空城とかいうオチじゃないだろうな……まぁいいや、ちょっと遠いけど、行ってみるか」
つーわけで、俺はそこへと歩を進めた。
程なくして建造物の前へとやって来た俺は、そこで立ち止まり、まずは建物に目を凝らした。
モロにパルテノン神殿のような建築様式で、色が白っぽいせいか、この白い雲の世界に異様にマッチしていた。
また、入口は少し高い所にあり、厳かな白い石の階段がそこまで伸びている。
佇まいは、まさに神殿といった感じであり、周囲の雰囲気とも相まって、中には神様みたいな存在がいそうであった。
(入口は上みたいだな。ここで見ていても仕方ない……行くとするか。悪い事はそんなにしてないから大丈夫だとは思うが……万が一って事もある。どうか、地獄に落とされませんよーに……)
そんな事を考えつつ、俺は白い階段を上り始めた。
階段を上ると、大きな丸柱が幾つも立ち並ぶ、建物の入口が見えてきた。が、しかし……俺はそこで、思わず立ち止まったのである。
なぜなら、入口の手前には、黒いローブを纏う不気味な存在が佇んでいたからだ。
それは頭の部分まで黒いフードに覆われている為、この白い世界に似つかわしくない存在であった。
(なんだあれは……以前、イデア神殿で遭遇した影とソックリな奴だ。また攻撃してくんじゃないだろうな……って、もう死んでるし、さすがにそれは無いか。ちょっと怖いけど……とりあえず、近づいてみるか……)
俺は恐る恐る、黒いローブ姿の存在へと近づいた。
黒い存在は俺が近づいているにも拘らず、微動だにしない。
その為、置物のようにも感じられた。
だが、得体が知れない存在なので、俺はとりあえず、10mくらい手前で立ち止まったのである。
見るからに不気味ではあるが、不思議と嫌な感じはしなかった。
(向こうから話しかけてくる気配はないな……こちらから訊いてみるか……)
つーわけで、俺はやんわりと話しかけてみた。
「あのぉ……すいませんが、貴方は、ここの関係者の方ですか?」
「……」
その黒い存在は無言であった。
もしかす
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