Lv63 狭間の門( i )
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い何かが逆流してゆく。
それから程なくして、口から真っ赤な液体が、勢いよく吐き出された。
【ガハッ……】
どうやら俺は、奴の行使する魔光の剣によって、モロに鳩尾を貫かれたようだ。
吐き出された真っ赤な生暖かい液体は、口から顎へ、そして胸元へと伝って、ポタポタと床に落ちてゆく。貫かれた箇所からも、同様に……。
俺はそこで理解したのである。これは致命傷だと……。
【コ、コータローサァァァァンッ!】
【コータローォォォォ!】
【コータローさんッ!】
悲鳴にも似た、皆の絶叫が聞こえてくる。
そんな中、アシュレイアの勝ち誇る声が、俺の耳に響き渡ったのである。
【フッ……コータローよ、選択を誤ったな。我が配下となれば、生き延びられたモノを……。だが、今回ばかりは私もヒヤッとさせられたよ。まさか、リュビストの結界をお前が発動するとは思わなかったのでな。ここまで我等を苦しめたお前に、私も敬意を表そうではないか。せめてもの礼だ。今、楽にしてやろう。永遠の眠りにつくがよいッ……メラゾーマ!】
もう片方の竜の手から、奴の身体と同じサイズの巨大な炎の塊が現れ、俺に襲い掛かる。
炎の塊は物凄い圧力で俺を吹っ飛ばし、飲み込んでいった。
俺は火達磨になりながら、皆の後方に位置する床を勢いよく転がり、そこでぐったりと横たわる。
そして、俺の目は最後に、隣で眩い光を携えるラーの鏡を映したのであった。
(……この世界に来てから、いつかこんな日が来るんじゃないかとは思っていたが、とうとうその日が来たようだ。ここで、俺の冒険は終わりか。あっけない幕切れだな……本当はもっと生きていたかったが、これも運命と思ってあきらめるしかないか。ごめん、ヴァロムさん……俺ができるのはここまでのようです。後は皆で何とかしてください。結局、日本には帰れずじまいだったな……せめて最後くらいは家族に会いたかった。この世界で死んでも、向こうで死んだ親父に会えるんだろうか……会えるといいな……)
程なくして、今までの俺の人生が、ダイジェストのように脳内で再生されてゆく。
これが走馬灯というやつなのだろう――
[U]
気がついたら、辺り一面に白い雲が漂う場所で、俺は1人ポツンと佇んでいた。
「あれ……雲の上……どこだ、ここ? つか、なんでこんな所にいるんだ……って、あ!?」
俺はそこで、今まであった出来事を思い出した。
「そういや……アシュレイアと戦っていて、俺は奴に殺されたんだっけ。って事は……ここは死後の世界か?」
足元にはどこまでも続く白い雲の世界があり、上を見上げると、青く清々しい大空が壮大に広がっていた。
解放感がある所為か、凄く気分がいい。が、周りに誰もいないので、ちょっと心細い空間でもあった。
この
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