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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv63 狭間の門( i )
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ると、本当に置物なのかもしれない。
(無反応だな……もう少し近づいて見るか……)
 俺は更に数歩、その存在へと近づいた。
 と、その時である。

【長い間……君がここに来るのをずっと待っていた……】

 不意にその存在は言葉を発したのだ。
 それは若い男の声であった。
 この予想外の言葉に、俺は少し戸惑った。
「何を言ってるんだ、一体……というか、誰だよ、アンタは」
【私は……(かつ)ての君だ】
「はぁ? 嘗ての君って……どういう」
【君に渡すモノがある。これを受け取ってほしい】
 黒いローブ姿の存在は、両腕を大きく広げた。
 と、次の瞬間、黒いローブの奥に見える暗闇から、眩い光が放たれたのである。
<i7614|23211>
 俺の眼前は、その眩い光によって真っ白になる。
 またそれと共に、幾つかの情報が俺の中に入り込んできた。
 それはまるで、以前経験した魔法を覚える儀式と同じような現象であった。
(こ、これは……魔法……いや、他にも何かが入ってくる……)
 眩い光は程なくして消えていった。
【私の盟約は、これで君へと引き継がれた……後は君に任せよう……】
 と、その直後、黒いローブ姿の存在は、まるで煙のように消え始めたのである。
 俺は慌てて呼び止めた。
「ちょっ、ちょっと待てッ……君に任せるって、一体何なんだよ! 俺はもう死んでるんだぞ! 今更、何が出来るっていうんだ!」
【君はまだ死んでいない。さぁ……この奥にある門へと進むんだ】
「死んでいない? 門? 何言ってんだよ……さっきから、わけがわからんぞ」
【ここは君の中にある精霊界と現実世界をつなぐ狭間の門……門を開いた時、君は新たな力に目覚め、現実世界に戻るだろう……さぁ時間がない……急ぐんだ】
 黒い存在はそれだけを告げ、この場から消えてしまった。
 辺りはシンとした静寂が漂っている。
 俺はそこで、神殿みたいな建物に視線を向けた。
「精霊界と現実世界をつなぐ、狭間の門だって……いいだろう。よくわからんが……行ってやろうじゃないか」――
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