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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 G
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 鹿次は思い切り白旗を振り回す。

『ホラー号、自主的降伏。よって「通常の三倍のマッドアングラー隊」の勝利!』

 鹿次の白旗は、審判長が認めてしまった……。



「あー助かった」

 鹿次は、これで最悪の事態だけは免れた。とホッとしていた。
 しかし、実は鹿次は本当の最悪の選択をしてしまったのだ。
 鹿次は、いきなりモヒカンドライバーに胸ぐらをつかまれた。

「おいテメエ、何て事しやがる。
 男戦車の白旗降参は、罰金10倍だぞ! 一千万だ!」

 鹿次以外の4人の形相は、悪鬼そのものだ。
 普段から鬼面の戦争親父など、リアル閻魔大王だ。

「そ、それでも罰ゲームがないだけえ〜」
「……ないと、思って、いるのか? うすらボケ!」

 え? そんな話初耳ですうー。といいたい鹿次。
 しかし、他のクルーは大まじめ。戦争親父はもはや能面。
 ちょうどその時、ホラー号の周囲になにやら多数の人間が現れたようだ。
 いきなりハッチが外から開けられる。

「全員、手を頭の上に組んで出てこい!」

 一般親衛隊の黒衣の制服を着た屈強としかいいようのない男たちが、ハッチの外にいた。

「お前らは、我々の捕虜だ」



 こうして鹿次たちは、後ろ手に縛られてハーフトラックの荷台に積み込まれ、パドックまで運ばれていった……。






 観客席と、各地の場外戦車券売り場ではギャンブラーたちが配当の表示を待っていた。
 つまり胴元控除後、いくらもどってくるかが知りたいだけである。完全にお通夜ムードで。
 しかし、この勝負で当たり戦車券が出てしまった! たった20枚だけ。

「ぬわんだと――――――――――――っ!!!!」
「ブッ殺す!!」
「異論は認めん!」

 日本中で怒号の渦が巻き起こる。
 各地の場外の数カ所では、ついに暴動が起きてしまった。
 なんと、五千万戦車券だ! 史上最高額。
 明日にはニュースや新聞で報じられるであろう。
 総額10億円の配当。
 しかし、中央競戦車会はじめ胴元たちにも、たった一戦で10億単位の収益があった。
 オッズはもう決まっていたのだから。

 しかし、今日の戦車戦に関わった連中のほとんどは、ただ金をスッただけ。
 億万長者とそれ以外……。
 皆様のお怒りは、当然戦争親父とホラー号に向いている。
 そんな観客たちも、ウイニングランする美少女戦車乗りたちには、盛大な歓呼と拍手を送る。
 もちろん鬼女にも、脳みそ筋肉にも、真正の悪魔にも。
 いやむしろ、こいつら完全に英雄あつかいだ。
 なにしろ半数の戦力で野郎軍を全滅させ、その上いままで常勝不敗の名をほしいままにしたイージーエイト「ホラー号」についに土をつける
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