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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 G
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41は、ちょうど並木道が十字路になっているところで、ケツを振りながら左折する。
 ホラー号のドライバーも遅れてはならじとばかり、巧みな荷重移動でもっと速く曲がる。
 A41はホラー号の前方30mにいた。道は直線。ならば停止射撃だ。
 しかしホラー号は戦争親父が「止まれ」と叫ぶ前に、いきなり急制動。
 ドライバーが「俺は何もしていねえ」という顔をしている。
 それと同時に、A41の姿が「文字通り」消えた。
 その時になってやっと、戦争親父は自分の戦車を襲った異変に気がつく。
 砲塔の左右に大木が生えていて、その幹同士にぶっといワイヤーが張られている。
 戦車牽引用のワイヤーだ。これに強制的に止められたのだ。
 そしてよく見ると、左右の木の向こうにいるのは、お化けあんこうと蝗。
 ホラー号と逆向きに止まっている。
 そして自分たちが走っていた道は、すぐ先で急な下り坂になっていた。
 つまりこのくそったれ姉妹はお互いの戦車の後部フックにワイヤーをつないで、ピンと張らずに地面に垂らして待っていたのだ。
 そしてA41が通りすぎたあとに2両とも前進。
 ワイヤーは大木に引っかかって車体の高さに張られる。
 即席ワイヤートラップのできあがりだ。
 重戦車を牽引できるヘビーデューティーワイヤーだ。
 30トンのイージーエイトなどあっさり止めてしまう。
 そして、こいつらはホラー号の砲塔に主砲の砲身を向けている。
 前方からは、さっき下っていった斜面をA41が逆に登ってきた。
 ホラー号の主砲の俯角のさらに下から。
 さらに真後ろには、2両のジャンボウが退路を断って、こちらを狙っている。
 砲塔も大木のせいで回せない。

「終わったな……」

 戦争親父はもうどうにでもなれとしか思えない。
 まさか、ワイヤートラップなんて真面目にやるとは。
 しかもこの手際の良さ、悪魔でも憑いているにちがいない。

 それは確かに事実であるが、その悪魔は今回はまったく普通に戦っただけだ。
 人間に、悪魔より恐ろしいのがいただけでしかない。

「じゃあみんな、初めての負けだ。
 最後ぐらい盛大にやっつけられようぜ!」

 戦争親父のセリフで、鹿次は我に返った。
 そうだ、撃たれたらえげつない処刑装置が作動する。
 今まで負けたことがないのだから、きっととんでもないのが仕掛けられているにちがいない。
 鹿次がやることは、もはや一つしかない。

「白旗白旗白旗〜〜〜〜!」

 目を血走らせて手旗信号旗をさがす鹿次。
 なんと、それは通信手である自分の真横にあるではないか。
 鹿次は、紅白旗の白い方を握り、ハッチを開ける。

「テメエ! 何しやがる」

 モヒカン操縦士が止めようとしたが、もう遅かった
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