これが漢の戦車道 G
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「ついてきたわね」
A41の斜め後ろから、木々に隠れるようにしてホラー号が付いてきている。
むろん、A41の車長がただの学生戦車道門人なら気がつかないほど巧妙に。
「じゃあ、始めましょうか。
Let's dance!」
A41は速度を上げて、ホラー号をまこうとするかのような複雑な動きを始める。
「悟られたか」
下策は承知だったが、やはり釣られたのだと戦争親父は思った。
こっそり近づいて、こっそり高速徹甲弾をお見舞いするというもくろみはついえたようだ。
おまけに、こっちの動きは敵の想定内らしい。
だったらもう、他のが集まってくる前に強襲するしかない。
戦争親父は、姿を暴露してもいいからA41を追えと命じる。
「しかし、一直線上には並ぶなよ。射線は外せ。
できるな?」
「もう、無理でもやるしかねーだろ。親父」
「みぽりん、敵が食いついたって。
振り回しながら、予定どおりこっちに向かってるわ」
不本意だ。まったく不本意だ。
少佐カットも毎度毎度えげつない邪道的戦法を、好んでやっている訳じゃない。
少佐カットは、心の中で絶叫する。
(私はまだ、紅茶が大好きな歴史オタクや格言オタクみたいな腹黒じゃないわっ!)
しかし、脳みそ筋肉に産まれなかった以上、人間というものは悪魔より邪悪になってしまう。
たとえ、姉よりもあいつは狂っているといわれようと、鬼とか魔王とか呼ばれようと。
曹操や信長やヒトラーやスターリンやチャウチェスクやポル・ポトが失禁しようが。
まあ、そんなことにはならないだろうが、とにかく修羅の道を行くしかない。
母親をぶちのめして、おとーさんといちゃいちゃできるその日まで。
「しかたないわねえ〜。正攻法で勝たせてくれないから悪いのよぉ〜」
この時の少佐カットを小娘悪魔が見たら、自分はまだ修行が足りないと思ったかも知れない。
もっとも、他の4人にとっては日常茶飯事、どうということはない。
A41は、ドライバーがぶっ飛んでいるらしい。
走りながらいきなり前後逆転したり、車体を斜めにしてせまい間隔をすり抜けたり。
ウィリーしたりジャックナイフしたり、もう、やりたい放題し放題。
たった600馬力で、どがつくピーキーエンジンを載せた、50トンもある怪しいセンチュリオンをスタントマシンに変えている。
もっとも「向こうの地球」には、そういう頭のネジが外れたドライバーはゴロゴロしてるが。
しかし、戦争親父もさる者。欺まん的な動きはスルーして、なんとか後方20mにつけている。
それが命取りになるとも知らず。ではあるが。
A
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