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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 G
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した。
 5両がばらけて、俺たちを捜し回ってくれれば、1両ずつこっそりキルできるかも知れねえ。
 逆転の可能性は、今となってはそれだけだ。
 新入り、ドローンを1回呼び戻せ。電池を取り替える」

 今となっては、それだけが頼みの綱だ。
 それに単騎行動ならば、見つかる率も低くなる。
 戦争親父の判断は正しいと言っていいだろう。せいぜい対等の相手であれば……。






 お化けあんこうの近くから履帯の音が聞こえてくる。
 しかし当然、それはホラー号ではない。
 やがて、岩に乗り上げたお化けあんこうの傍らに、脳筋勇者の座乗する蝗が現れた。

「みほ、いま引っ張り出してやるからな」

 岩に乗り上げたお化けあんこうを、もう一匹の、一部を除いてまったく同じ妖怪戦車が必死で引っ張っている。
 実際は戦争親父が見たとおり、蝗のほうがあんこうお化けより20トンは重いからレスキューできるが、逆だったらまちがいなく容赦なく放置されていただろう。
 黒い森のバーバリアン軍団には、人間の手助けは必要ない。チビガリ一人援軍に出せばいい。
 なんといっても軽戦車とはいえ、外れた履帯を一人ではめ直した実績がある。

「ふふふ、もうお前のそばを離れないぞ。みほ」

 石器時代の脳みそ筋肉シスコン勇者は、戦車同士をつなぐワイヤーを外す気などなかった。
 これが連環の計……。



 一方こちらは、その怪力チビガリと外見ロリ中身婆様の悪魔が乗っているA41。
 全員外に出て、地図を見ながらなにか話している。そばかすが手を挙げた。

「私の勘では……」
「あなたは黙って。
 要は見晴らしのいいところばかり、エンジンふかしながらうろつき回れ。
 エサに食らいついたら、バラさないようにうまく釣って、タモ網のところまで引いてこいってことね」

 いよいよ本領発揮、と張り切るそばかすは、やはりはなからあてにされていない。






「ふん。ドローンが見つけたのは、A41ただ1両か」

 ホラー号の中で、戦争親父がうなっている。

「どうも見せつけるように走っているくさいな。
 だが、俺たちが隠れっぱなしで無気力試合になったり、観客が退屈したらえらいことになる」

 どうせタイムアップ狙いでさえ負け確定。
 勝つためには、相手を全滅させるしかないのだ。

「しゃあねえなあ。行くぞお前ら」

 こうしてホラー号は、虎や狼やアナコンダがうろつく密林の中に自ら飛びこんでいった。
 彼らはまだ、これからが本当の恐怖だと知らない。
 いつのまにか「軍神」が「鬼神」に変貌していたなどと、知るよしもない。
 つまり、少佐カットは破れかぶれ状態で、もはや体面など気にしていないということを。

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