これが漢の戦車道 G
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に次々指示を出し、即座に「準備良し」との応答を受ける。
鹿次は、そんなんで逃げられるのかと不安だ。
ガバナー調整は、本来は整備のときにエンジンルームを開けて行うが、ホラー号は走行中でも操縦席で調整できるようにしている。
もちろん、エンジンを壊す危険と引き替えだ。
しかし、相手は加速、最高速度、運動性ともホラー号を圧倒している。
策がなければ逃げられない。
「敵、撃ってきたわ! でも当たらないっ!」
常にキューポラの外に半身を出し、何があっても車内に身を隠さないことから「軍神」とまで呼ばれるお化けあんこうの車長、少佐カットが叫ぶ。
ならば操縦手のマッチ棒は、あくまで有利な位置を占位するためだけに戦車を動かす。
戦争親父もそう理解して、このタイミングで撃ったのだ。
目くらましの榴弾を。
ホラー号の放った榴弾は、車体左にある操縦席を中心に、90度の扇形になるよう着弾。
少佐カットは一瞬だけ背をかがめる。
次の瞬間、お化けあんこうの底面から激しい衝突音が響き、がくんと速度が落ちる。
そしてそのまま、お化けあんこうは停止してしまった。
「しまった、露出した岩に乗り上げた!」
少佐カットはすぐに気がついた。
履帯の片方が空回り気味だ。車体が浮いているのだ。
次は敵の砲撃が来る。
クルー全員がそう思って、衝撃に備える。
しかし、数秒たっても何も起こらない。
けげんに思った少佐カットが周囲を見渡したときにはもう、ホラー号はガバナー全開で木々の間をスラロームしながら、ラリーマシンのように逃げつつあった。
「くっ、してやられた……」
少佐カットは、くやしそうにつぶやいた。
「――沙織さん、作戦ファイルAの3からCの4までを順次実行と各車に通話して」
もう、捕捉できない……。
逃がしたことを悟った少佐カットは、ゼクシイに作戦変更の通知を指示した。
「おやっさん、なんであそこでやっちまわなかったんすか?」
鹿次の間抜けな質問に、他の全員が「お前バカぁ〜」という視線を向ける。
「良くて相討ち、悪けりゃワンサイドでゲームオーバーだ」
それだけの相手だと戦争親父はいう。
こっちは敵の真後ろまで移動しなければならず、撃ったとして貫通するかわからない。
お化けあんこうの断面は平行四辺形だから、後ろから撃ち降ろしても俯角になって
額面以上の傾斜で跳弾になる可能性が高い。
かといって車体側面下部を狙ったところで、転輪やサスペンションに邪魔される。
そしておそらく、こっちはそれまでに撃たれている。
「それに援軍がそこまで来ていたら終わりだ。
だから仕切り直し
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