二話〜竜王VS聖騎士+幼女〜
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まったのだ。
これでは集中して、将棋が指せないと落ち込む俺。
だが救いの手は、幸運にも同じマスコミ関係から出された。
今回の騒動で有名になった俺は、棋界を通してテレビ関係のCMやドキュメンタリーの仕事を依頼されるようになった。
当然の如く、若輩の俺の手に分不相応とも言える金額がもたらされる。
結果、俺はセキュリティの硬いマンションを買い上げるほどの金を手にし、今に至る。
まあ、守衛さんには知り合いは将棋会館発行の身分証提示したら通すように言ってあるし、家の鍵も俺はかけてないから言うほどガードが硬い訳じゃないが…………
とりあえず、ゴシップ紙に好き勝手張り込みされるようにならなくなったのは素直に喜ばしいことであった。
そう考え何時も通り守衛の前を通ると、何故か手招きされた。
「どうしました?」
「あんなあ、実はボンが来る前にな…………」
守衛さんの話によると、自分が来る前に、自分の手紙を持った小学生の女の子が訪ねて来たらしい。
「どっちの子かな?」
自分が竜王を取り、また名人との死闘を演じたこの3ヶ月で手紙を送った相手で、小学生の女の子となると相手は二人。
夜叉神天衣(あい)と雛鶴あいである。
二人は3ヶ月前の竜王戦から自分に師事を乞いたいと熱心に手紙を送ってくれており、自分は名人戦の研究の合間に、彼女達に昔使っていた詰将棋の本を送ったり、彼女達の将棋の相談に乗っていた。
たかが小学生と侮るなかれ。
彼女達の質問は鋭く、その着眼点は自分もはっとさせられた。
ただ、そりゃあ、住所を書いてるのだから来ることは出来るだろうが…………
自分もまだ若輩の身、弟子を取るのはまだ早いし、難しいと手紙でも送った筈なんだが。
「なんで直接来たのだろうか?」
前に倒れてしまったのは確かだが、その後に無事を知らせる手紙も送ったのに。
「なんや、ボンを悪い女から守る言うてたで。ワイも娘がいるさかい、つい甘くなってしもうてな。それにまだ肌寒い中、小さい子立たせたままっちゅうのは酷やろ?」
「確かに、ですね」
別に取られるモノもないし、小学生の女の子の泥棒というのは考えにくい。
その守衛さんの判断は、全く間違ってなかった。
礼をのべて、オートロックのホールを抜けると、階段を上がって二階へ。
上がってすぐの扉を開けると…………
「お帰りなさいませ、お師匠様!」
三つ指をついた、小学生が、出迎えてくれた。
「…………ん?」
それが、自分、九頭竜八一と、雛鶴あいの、最初の出会い。
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