第五十話 水着回のくせに水着の話は何処行った?
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だけど……」
俺が用意してあったカレールーを持ち上げながら尋ねる。究極のカレーというのが口から出任せだと言うことぐらいは知っているが、取り敢えず婚后さんに恥を書かせないようにこの話を収束させるにはこういう方法で良いだろう。
「あっ……、そ……そうですわねー……ちょっと無理そうですわねー……ごめんあそばせ、おほほほほ……」
「えー、残念だなー」
「まーしょうがないよ、佐天さん。ここにはターメリックもコリアンダーもクミンもガラムマサラも無いんだし、婚后家の究極とか関係なく一般のシェフが作るカレーすら作れないんじゃないかなぁ」
婚后さんは俺の話に上手く乗っかり、それを聞いて残念がる佐天さんには俺が付け加える。俺もカレーの素材なんてのははっきりと分からないのでターメリックはともかく、コリアンダーとかクミンとかガラムマサラなんかが使われるのかどうかも知らないし、クミンではなくクルクミンだったりクミンシードだったりするのかも知れないが、何かそれっぽいものを付け加えておいた。そもそも、本当に究極のカレーなんて物を作ろうと思ったら、材料どころか設備や道具からして全然不足と言うしかないだろう。
「確かにそうね。調味料もそうだけど、材料もごく一般に出回る物ばかりだから、お金持ちのお家で作る究極なんてのは無理よね」
俺の言葉に固法さんも納得してくれたようだ。それを見て婚后さんは何となくホッと胸をなで下ろしたようである。ただ、婚后さんが素直に他人から教えを請うイベントを潰してしまったかも知れないので、出来ればその辺のフォローも後でしておかなければならないだろうか。
「ちょっと聞くけど、泡浮さんと湾内さんは料理ってどのくらい出来るの?」
「あ……私達はそんなに……カレーも作ったことはありませんし……」
取り敢えず泡浮さんと湾内さんに料理が出来るか聞いてみた所、この二人もやはりお嬢様なのだろう、思った通りの答えが返ってきた。
「じゃー、婚后さんは……ここにある食材で何か作れる物あったりする?」
「そ……そうですわねぇ。婚后家の秘伝料理などはここにある食材だけでは出来ませんし……」
一応婚后さんにも確認を取り、婚后さんは俺の意図を察してくれているのか俺の想定通りの答えを返してくれた。
「なら仕方ないね。泡浮さんと湾内さんと婚后さんはウチらと一緒にカレーを作るって事で良いよね?」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたしますわ」
「そうですわね。庶民の料理を覚えるのも悪くありませんわね」
俺が三人に確認すると三人とも了承してくれたので、これでカレー側の人員は充分だろう。
「それじゃー決まりね。私は人数が少ないご飯の方に回るわね」
『はーい』
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