天使のような子の幼馴染と出会った
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「う、うん、そうだね。もう、吃驚させないでよぉ……」
「あはは、ごめんごめん!」
「……うぅ」
「…………」
なんだこの空気。俺が作り出した訳だけど、とてつもなく気まずい。
やっぱり南さんの顔は赤くなっているし、俺の顔も赤くなっていることだろう。
傍から見たら初々しいカップルとか思われてるかもしれない。
もしそうだったら──嬉しいかも。
……こんなことを考えるってことは、やっぱり俺、南さんのことが好きなのかな。
「あ……そ、そうだ。待ち合わせの場所はどうする?」
「あっ、そうだね。えーと……」
南さんが上手く話題を転換してくれたことにより、気まずい空気から抜け出すことが出来た。
そして、肝心の待ち合わせの場所。これは南さんの提案でとある喫茶店に決まった。偶然にも、そこは俺と翔真が頻繁に訪れる喫茶店だった。
「じゃあ決まりだね。時間は大体5時くらいで大丈夫かな?」
「南さんがそれで良ければ。5時なら俺も余裕を持って行けるよ」
「うん、分かった。それじゃあまた放課後、でいいのかな?」
「そうだけど……。南さんはもう練習に行くの?」
「うん。予想以上に時間掛かっちゃったみたい。急がないと」
時計を見ると、家を出て既に10分が経過しようとしていた。普通だったらいつも翔真と合流している頃だ。まあアイツには訳を話せば分かってくれるだろう。
そして、遅れたのは間違いなく俺が原因。立ち止まって会話するわ、南さんの提案を渋るわ、遅れる要素がこれでもかとある。
もう少し南さんと話していたかったけど、我儘は言えない。
「あっ、そっか……なんかごめん。遅れたのって俺が原因だから」
「ううん、いいの。それよりこっちこそごめんね?」
「それに関しては大丈夫だって。放課後、待ってるからさ」
「……! ほ、本当にありがとう。それじゃあ私、そろそろ……」
「うん。練習、頑張って」
「ありがとう!」
南さんはそう言うと俺に背を向け、神田明神への道を走り始めた。昨日とは違い、結構本気で走っている様子の南さん。それだけ遅れてるんだなと胸の中が申し訳なさで一杯になる。本人は許してくれたけど、やっぱり気にしてしまう。
それにしても南さん──後ろ姿だけでも美少女だって分かる。綺麗なベージュの髪と、服を着ててもはっきりとしている大人顔負けのスタイル。
実際かなり──というか超絶美少女な訳だけど、それが後ろ姿だけでも分かるって本当に凄いことだと思う。
「……っと、俺も遅れてるんだった」
少々南さんのことについて考えすぎていたようだ。気が付けば、さっきまで確認出来ていた筈の南さんの姿がない。既に角を曲がったらしい。
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