ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
2章 生き様
14話 単独行動其の一〜ツカサ編〜
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恐らく、この予想は間違っていないだろう。
引き返し、リアを呼んでくる…という選択肢は、ない。引き返し、さらにリアの進んだ分を歩き、またここに戻ってくるのは、効率が悪すぎる。恐らく、ここでの正解は、自分一人でボスを倒すこと。あの分かれ道で別れたとき、リアもそう思っていただろう。
ツカサは目の前の彫刻に意識を戻した。
まず、はじめに描かれていたのは、巨大な狼のようなモンスターと、剣や槍を構えた戦士たちが対峙している場面。
次に戦士が狼を囲む。そして戦士たちは攻撃を開始し、狼の体からは血があちこちから吹き出し始めた。それでも、数人の戦士を吹き飛ばすが、自らが受けるダメージのほうが大きいことが見て取れる。そろそろ狼も倒れるのかと思いきや。
「…え?」
次の場面では、武器は折れ、戦士たち全員が蹴散らされ、宙を舞っていた。そして、最後には、血を流しながらも、その場に堂々と立っているのは、狼のほうだった。
「…過程がない」
狼が弱って、そして戦士が破れている場面の間に、過程が一切ない。その狼がどんな攻撃を使ってくるのかが何もない。
「つまり、まとめると、狼型のモンスターで、最後の最後に何か奥の手を使ってくるということしかわからないってことか」
これだけの量の彫刻があるくせに、結局わかったのはその2つだけ。だが、されど2つだ。狼型というのは、見ればすぐわかるが、奥の手があると知っていれば、それに警戒することもできる。
その彫刻が終わった先には、石造りの大きな扉がそびえ立っている。
「…行くか」
ツカサはそうつぶやき、その扉を押し開いた。
中の様子は、ボス部屋とそうそう変わらないが、奥行きがかなり狭いように感じる。5、60メートルぐらいだろうか。
薄暗い部屋に、奥に向かって松明が数を増やしていくのは見慣れた光景だ。そして、徐々に浮かび上がるシルエット。
まず、ツカサが思ったのは「でかい」だった。今までも巨大な動物の形をしたモンスターと散々戦ってきたのだが、ここまで大きいのは初めてだった。その体の大きさは、普通の一軒家2つ分ぐらいで、見上げ続けるだけで首が痛くなりそうだ(この世界で痛みは感じないが)。背中は艶やかな灰色、腹のほうは、まぶしいぐらいの白。足には金の輪に翡翠の飾りが付いたものをはめていて、頭には同じく金色に翡翠の頭飾り。
固有名“エンペラー・オブ・ティバインウルフ”。
いかにもその名にふさわしい容姿である。まさに皇帝、まさに神の化身のようだった。
最後の松明に火が付き、その体がすべて明かりに照
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