有志同盟
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
う」
「フフ、そうですね」
「変わらないわね」
深雪の方は、どこか楽しげな口調で。
深紅の方は、どこか呆れたような口調で。
「でもお兄様。わざわざ壬生先輩のプライベートナンバーを保存していらした理由は今更ではありませんので、後ほど詳しく話を聞かせてもらいますね?」
深雪は満面の笑みで、さらにこう付け足した。
深紅はどうやら、この場は深雪に全てを任せることに決めたようだった。
??????
「私たちを騙したのね?!」
放送室を占拠していたのは、沙耶香を含める五人。
そして沙耶香以外の四人は風紀委員に拘束されていたが、沙耶香はCADを没収されるだけにとどまった。
摩利が達也の名誉に配慮か結果だ。
「司波はお前を騙してなどいない」
達也を更に言い詰ろうとした沙耶香の背中に、克人が重く低い声をかける。
「十文字会頭……」
「お前たちの言い分は聞こう。交渉にも応じる。だが、お前たちの言い分を聞くことと、お前たちのとった行動を認めることは別問題だ」
沙耶香の態度から、急激に攻撃性が失われる。
克人の放つ迫力に、沙耶香の怒りは呑まれていた。
「それはまぁそうなんだけど、彼らを放してあげてもらえないかしら」
その時、この声と一緒に小さな人影が達也と壬生の間に割り込んだ。
「だが真由美」
「言いたいことは理解してるつもりよ、摩利」
反論の構えをとった摩利の言葉を、真由美は途中で遮った。
「でも、壬生さんだけじゃ打ち合わせはできないでしょ?
それに、彼らはこの学校の生徒なんだから、逃げるという手段も取れないわ」
「私たちは逃げたりしません!」
真由美の言葉に、沙耶香が反射で噛み付く。
真由美はそれを、完璧に無視した。
「先生方は、これらのことを全て生徒会に任せるそうです。
ということで壬生さん、これから打ち合わせをしたいのだけど、ついて来てもらえるかしら」
「……構いません」
「十文字くん、お先に失礼するわね」
「承知した」
「摩利ごめんなさい、手柄を横取りするみたいで気がひけるのだけど」
「手柄のメリットなどないから気にしなくていい」
「そうだったわね。
じゃあ達也くんも深紅ちゃんも深雪さんも、もう帰っていいわよ」
意表を突かれ、三人は一瞬黙り込んだ。
「はい……それでは失礼します」
一番先に回復したのは深雪。
一礼する深雪に続いて、深紅と達也も無言で頭を下げ、その場を去った。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ