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魔法科高校の劣等生 〜極炎の紅姫〜
有志同盟
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好きじゃないのである。

「十文字会頭はどうお考えなんですか」

この達也の質問に、みんなから意外感をたたえた視線が彼に返ってきた。
達也自身出過ぎていると思ったが、膠着状態を放置するよりいいだろうと考えた結果だ。

「俺は交渉に応じてもいいと考えている」
「では、この場はこのまま待機したほうがいいと」
「それについては判断しかねる。
明らかな不法行為を放置すべきではないが、学校施設を破壊してまで対処しなければならないほどだとは思わないからな」

克人のスタンスはつまり、鈴音に近いもの。
達也は深紅と摩利からの不満げな視線を受けながら、一礼して引き下がった。

そして、携帯端末をブレザーの内ポケットから取り出した。
音声通話モードを立ち上げる。

「壬生先輩ですか?司波です」

ギョッとした視線が数本達也に向けられた。

「それで今どちらに……放送室ですか。それはお気の毒です」

そんな視線を完全に無視して、達也は会話を進める。

「十文字会頭は交渉に応じると言っています、生徒会長も……同様です」

鈴音からのジェスチャーを受け取り、微かに間を開けながらも真由美の意向を沙耶香に伝える。

「ということで、交渉についての打ち合わせを行いたいんですが。……ええ、今すぐです。……はい、先輩の自由は保証しますよ……では」

通話を切って、達也は摩利の方に向き直った。

「すぐにでてくるそうです」
「今のは壬生沙耶香か?」
「えぇ、待ち合わせのためにと教えられていたプライベートナンバーが思わぬところで役に立ちましたね」

達也の背後で、深雪が微かに俯いた。
長い髪で、ムッとした表情を隠すためだろう。
また達也の右隣で、深紅はスッと目を閉じた。
湧き上がった微かな苛立ちを抑えるためだろう。

「まったく手が早いな、君は」
「誤解です」

摩利との会話に意識を向けていた達也がそれに気づかなかったのは、幸運か、不運か。
少なくとも、深紅も深雪もここで達也の足を踏みつけるなどの暴挙にでないほどは、分別のある人だった。

「それより態勢を整えるべきだと思いますが」
「態勢?」

何言ってるんだ?という目で聞き返す摩利に、何言ってるんですか?という目を向ける達也。

「君はさっき、自由の保障すると言っていたじゃないか」
「俺が自由を保障したのは壬生先輩だけです。
それに俺は、風紀委員会を代表して会話をしているとは一言も言っていませんよ」

これには摩利だけでなく、克人も鈴音も、呆気にとられたような顔をした。
この場でのただ二人の例外は、達也を軽く避難する。

「まったく、悪い人ですね、お兄様は」
「本当に意地悪な言葉遊びが得意ね、達也は」
「今更のことだろ
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